爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

ゼノ様……。

「アンナ……?どうしたの?」

リリィはわたしの異変に気がついたのか、わたしの顔を心配そうに覗き込んでくる。

「ご、ごめん……なんでもない。座れるところに行こっか。そこで話すから」

わたしはそう言って、二人で港町のメインストリートに足を進めた。



「婚約破棄されたぁ!?!?!?」

「リ、リリィ!声が大きいよっ」

港町一帯が見渡せるテラス席。
紅茶を啜りながら一週間前の出来事を話し終えた瞬間、リリィは間髪入れずに叫んだ。

「理由は危なっかしくて胃がもたない!?そんなの知らないわよ!アンナの元気なところが魅力なのに!」

リリィは勢いよく言いながらも、どこか心配そうに眉を寄せていた。

「確かにちょっと……いや、かなり危なっかしいところはあるけど、それだってアンナが誰より優しくて、人を放っておけないからでしょう?」

わたしは思わず目を瞬かせた。

「それにね、アンナ。あいつにはアンナの良さが全然わかってないのよ。明るくて、優しくて、困ってる人を絶対に見捨てない。そんな子、そうそういないわ」

リリィは紅茶をひと口飲んで、ふっと息をついた。

「……まあ、時々うるさくてお馬鹿で脳筋すぎるところもあるけど。でも、それも含めてアンナなんだから」

毒舌のようでいて、ちゃんと優しさが滲んでいる。
そんなリリィの言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。