爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

あれから一週間が経った。
今日は、わたしの誕生日。

……とはいっても、一週間前のあの日に思い描いていた誕生日とは、全く違う景色が広がっている。
わたしは特訓の息抜きとして、港町にやってきていた。

いや、特訓の息抜きっていうのは半分は冗談で、半分は本気。
今日はゼノ様と……なんて予定がなくなってしまったから、開いている誕生日を親友と過ごすためにここへ来たのだ。

「アンナ、おまたせ」

柵に持たれぼーっと水平線を眺めていると、背後聞き慣れた声がした。

振り返ると、そこには親友のリリィ・マセマティカが立っていた。

「リリィ、今日は来てくれてありがとう」

「えぇ。誕生日おめでとうアンナ。けれど、急すぎるわ。昨日の夜に明日の予定空いてる?って連絡してくるなんて……あいつと行くんじゃなかったの?何があったのか、教えてくれるわよね?」

ニヤッとした不敵な笑みを浮かべるリリィに、わたしは苦笑いをしながら頷いた。

昨日の夜、特訓が終わった後お父様が言ったんだ。
「折角の誕生日なんだから、何処かで遊んで楽しんできなさい」と。

そのとき真っ先に浮かんだのがリリィの顔で、すぐに水晶の連絡ツールで連絡した。

急なお願いだったのに、リリィは快く承諾してくれた。

リリィが言うあいつは……きっとゼノ様のことだ。

その名を思い浮かべた瞬間、胸がぎゅっと苦しくなる。

ゼノ様……。

「アンナ……?どうしたの?」

リリィはわたしの異変に気がついたのか、わたしの顔を心配そうに覗き込んでくる。

「ご、ごめん……なんでもない。座れるところに行こっか。そこで話すから」

わたしはそう言って、二人で港町のメインストリートに足を進めた。