爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

心配するような色を見せるお兄様の瞳に、わたしは少しだけ安心した。

「昨日の夕食も、出てこなかっただろう?……俺はただ、心配でな」

いつも元気なお兄様の穏やかな声は、私の心を落ち着かせた。

「ゼノ様が……」

震える声で言葉を繋げる。

「あ、あの……婚約を取り消そうって…それで頷いて…」

そういった瞬間、堪えていた涙が再び溢れかえってきた。

自分で言葉にしたら、こんなにも辛いんだと改めて感じる。

下を向くと、スープにポタリポタリと落ちて、その度波紋が生まれる。

お兄様はそれを聞いた瞬間、動きが止まり固まる。

そして。

「は?」

聞いたこともないような、ドスの利いた声がダイニングに落ちた。

その一文字だけで、威圧感、恐怖、緊張感など様々なことが肌で感じられる。

「あいつ、そんなことをアンナに……今すぐぶっ潰してくる」

そう言って、眉を吊り上げて立ち上がったお兄様。

この勢いは、本気で怒っているときだ……!
お兄様はこのモードに入ってしまうと、きっと言ったとおりになってしまう!!

今までこのモードになったときに止めることができたのはわたしだけだ。

「お、お兄様!やめてください!……死んじゃいます!!」

わたしは慌ててお兄様の腕を掴み、ゆさゆさと揺さぶった。

お兄様は本気で困ったような顔をして、渋々と言った様子で席に座った。