つ、着いた……。
わたしの足は生まれたての小鹿みたいに震えている。
ああ、苦しい。
どれだけ吸っても酸素が足りない。
でも、頑張った甲斐あって、まだ事故は起きてないみたいだ。
もし事故が起きてたら、こんなに静かなわけないもんね。
「……よ、良かった、間に合ったぁ……」
雲が浮かぶ春の青空の下で、わたしはへなへなと通りの端っこにうずくまった。
コンクリートの壁に背中のランドセルを押し付け、両足を抱えて息を吐く。
「大丈夫か?」
同じ距離を走ったのに、千聖くんは平気そうな顔をしている。
もちろん息は乱れているし、額には汗が滲んでいるけれど、わたしみたいに立ち上がれないほどぐったりとはしていない。
「大丈夫……でもちょっと休憩……」
わたしはうつむいて、ぜーはー言いながら呼吸を繰り返した。
「事故は今日起きないのかな……だったら、事故が起きるのは明日か明後日? ううん、もしかしたら、わたしが見たのは予知夢じゃなくて、ただの夢だったのかも。そしたら今日、わたしが慌てたのも、千聖くんと一緒に全力疾走したのも、全部無駄だったってことになるけど……」
「ただの夢だったら、それが一番いいだろ」
「うん……でも、このまま何も起こらなかったら、付き合ってもらった千聖くんには悪いなあって……」
「そんなこと気にしなくていいんだよ。おれは付き合いたくて愛理に付き合ってるんだ。ここにいるのは愛理に頼まれたからじゃなくて、自分の意思」
千聖くんはそう言って、腰に手を当てた。
「大体さ、まだ夢オチで終わらせて良いかどうか、わからねーだろ。園田さんたちがどっちから来るかわかる?」
「あっち――あ」
ちょうど指さした方向から、園田さんたちが歩いてきた。
園田さんは薄手の白いカーディガンに緑のワンピース。
ここねちゃんは袖がふんわり広がったシャツに黒のスカート。
可愛く二つに結んだ髪にはイチゴの髪留め。
園田さんとここねちゃんは今朝、夢で見た通りの格好をしていた。
――今日だ。間違いなく今日、いまから、事故が起きる。
二人の服装を見て確信した。
全身に鳥肌が立ち、すうっと、身体の芯が冷たくなっていく。
わたしの足は生まれたての小鹿みたいに震えている。
ああ、苦しい。
どれだけ吸っても酸素が足りない。
でも、頑張った甲斐あって、まだ事故は起きてないみたいだ。
もし事故が起きてたら、こんなに静かなわけないもんね。
「……よ、良かった、間に合ったぁ……」
雲が浮かぶ春の青空の下で、わたしはへなへなと通りの端っこにうずくまった。
コンクリートの壁に背中のランドセルを押し付け、両足を抱えて息を吐く。
「大丈夫か?」
同じ距離を走ったのに、千聖くんは平気そうな顔をしている。
もちろん息は乱れているし、額には汗が滲んでいるけれど、わたしみたいに立ち上がれないほどぐったりとはしていない。
「大丈夫……でもちょっと休憩……」
わたしはうつむいて、ぜーはー言いながら呼吸を繰り返した。
「事故は今日起きないのかな……だったら、事故が起きるのは明日か明後日? ううん、もしかしたら、わたしが見たのは予知夢じゃなくて、ただの夢だったのかも。そしたら今日、わたしが慌てたのも、千聖くんと一緒に全力疾走したのも、全部無駄だったってことになるけど……」
「ただの夢だったら、それが一番いいだろ」
「うん……でも、このまま何も起こらなかったら、付き合ってもらった千聖くんには悪いなあって……」
「そんなこと気にしなくていいんだよ。おれは付き合いたくて愛理に付き合ってるんだ。ここにいるのは愛理に頼まれたからじゃなくて、自分の意思」
千聖くんはそう言って、腰に手を当てた。
「大体さ、まだ夢オチで終わらせて良いかどうか、わからねーだろ。園田さんたちがどっちから来るかわかる?」
「あっち――あ」
ちょうど指さした方向から、園田さんたちが歩いてきた。
園田さんは薄手の白いカーディガンに緑のワンピース。
ここねちゃんは袖がふんわり広がったシャツに黒のスカート。
可愛く二つに結んだ髪にはイチゴの髪留め。
園田さんとここねちゃんは今朝、夢で見た通りの格好をしていた。
――今日だ。間違いなく今日、いまから、事故が起きる。
二人の服装を見て確信した。
全身に鳥肌が立ち、すうっと、身体の芯が冷たくなっていく。

