イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「愛理がいなかったら、ジロさんはここにいない。そうだろ?」
「うん、そうだね」
 ジロさんは半分白目を剥いて、人間みたいに寝息を立てている。
 完全にリラックスしきったその姿を見て、わたしはつい噴き出した。
「拾ったときは警戒心剥き出しで、しゃーしゃー威嚇しまくって、引っ掻きまくってきた猫が、いまではあの有様だ。愛理は不幸だった猫を一匹救ったんだよ。何度でも言う。それはすごいことだ。猫を助けたいと思う奴はたくさんいるかもしれないけど、実行できる奴はそういないよ」
「うん」
「愛理は猫を助けた。それだけで愛理の予知夢にはものすごい価値がある。予知夢を変えるべく行動した愛理は自分を誇っていいし、誇るべきなんだよ」
「……うん。ありがとう」
 わたしは新しく流れてきた涙を拭って頷いた。
「千聖くんの怪我は防げなかったけど。これからも誰かが不幸になる予知夢を見たときは、変えられるように頑張るね」
 不幸になった人や動物なんて見たくないし。
 千聖くんが誇れって言ってくれたから。
 だから、わたしはこれからも頑張りたい。
 千聖くんに誇れる自分でいたい。
 強く、強く、そう思った。
「そうこなくっちゃ。とはいえ、愛理が危ない目に遭うようだったらおれが全力で止めるけどな。不幸になる他人よりも、一番大事なのは愛理だし」
 ぼそっとした呟きは、まさに殺し文句だった。
 わたしが赤面している間に、千聖くんはベッドの縁から立ち上がった。
「リビングで待ってるから、着替えて来いよ」
「うん、待ってて」
 パタンと扉が閉まり、千聖くんは部屋から出て行った。
 わたしは急いでパジャマのボタンを外し、用意していた服に袖を通した。