「はい。気を付けて帰ってね」
「はい。行こ、愛理」
「……うん」
促されて、わたしは千聖くんに続いて保健室を出た。
「クラブ活動の途中だったんだろ? 行ってこいよ。おれはバスケとかできる状態じゃねーし、帰るけど」
「ううん。先生にはもう言ったし、わたしも千聖くんと一緒に帰る」
わたしは沈んだ声で言った。
いまから家庭科室に戻ってお好み焼き作りを再開したとしても。
千聖くんが心配で、上の空になって、うっかり包丁で手を切ったりしそうだ。
「そ。じゃあ一緒に帰ろーぜ」
千聖くんは明るい声で言って立ち上がり、その後も何か話しかけてきたけれど、わたしの耳には届かなかった。
白い包帯で覆われた千聖くんの右腕。
わたしの視線はその一点に固定されて、動かない。
わたしはきゅっと唇を噛んだ。
なんで、わたしは今日、これを夢に見ることができなかったんだろう。
坂本くんが怪我をする夢は見ることができたのに。
どうして、千聖くんが怪我をする夢を見ることはできなかったの?
もし夢に見ることができれば、何がなんでも――絶対に回避したのに。
「はい。行こ、愛理」
「……うん」
促されて、わたしは千聖くんに続いて保健室を出た。
「クラブ活動の途中だったんだろ? 行ってこいよ。おれはバスケとかできる状態じゃねーし、帰るけど」
「ううん。先生にはもう言ったし、わたしも千聖くんと一緒に帰る」
わたしは沈んだ声で言った。
いまから家庭科室に戻ってお好み焼き作りを再開したとしても。
千聖くんが心配で、上の空になって、うっかり包丁で手を切ったりしそうだ。
「そ。じゃあ一緒に帰ろーぜ」
千聖くんは明るい声で言って立ち上がり、その後も何か話しかけてきたけれど、わたしの耳には届かなかった。
白い包帯で覆われた千聖くんの右腕。
わたしの視線はその一点に固定されて、動かない。
わたしはきゅっと唇を噛んだ。
なんで、わたしは今日、これを夢に見ることができなかったんだろう。
坂本くんが怪我をする夢は見ることができたのに。
どうして、千聖くんが怪我をする夢を見ることはできなかったの?
もし夢に見ることができれば、何がなんでも――絶対に回避したのに。

