「利き手の捻挫は大した怪我です」
保健室の先生は呆れたように言って、包帯を巻き終えて手を離した。
「とりあえず応急処置は終わったけど。痛みがひどくなるようだったら、ちゃんと病院に行ってね?」
「はい」
「なんで階段から落ちたの?」
「ごめんなさいっ。友達と、どっちが先に昇降口に着けるか競争してて。足が滑って、落っこちそうになって。お兄ちゃんに助けてもらったんです。でも、お兄ちゃんが落っこちちゃって……ごめんなさい」
千聖くんの横に立っている男の子は目から大粒の涙を流した。
「もういいよ。でも、校舎の中で競争はするな。危ないから」
「はい……ごめんなさい」
「うん。わかったから、もういいよ。友達も待ってるだろ?」
「……でも……」
「いいって。こんなん、全然平気、平気」
千聖くんは包帯に覆われた右腕を振ってみせた。
「……うん。じゃあ、ぼく、もう行くね」
男の子は手の甲で目元を拭った。
千聖くんに、ぺこっと頭を下げてから、保健室を出て行く。
小さな足音は遠ざかり、やがてすぐに聞こえなくなった。
「ありがとうございました」
千聖くんは椅子から立ち上がって、保健室の先生に頭を下げた。
保健室の先生は呆れたように言って、包帯を巻き終えて手を離した。
「とりあえず応急処置は終わったけど。痛みがひどくなるようだったら、ちゃんと病院に行ってね?」
「はい」
「なんで階段から落ちたの?」
「ごめんなさいっ。友達と、どっちが先に昇降口に着けるか競争してて。足が滑って、落っこちそうになって。お兄ちゃんに助けてもらったんです。でも、お兄ちゃんが落っこちちゃって……ごめんなさい」
千聖くんの横に立っている男の子は目から大粒の涙を流した。
「もういいよ。でも、校舎の中で競争はするな。危ないから」
「はい……ごめんなさい」
「うん。わかったから、もういいよ。友達も待ってるだろ?」
「……でも……」
「いいって。こんなん、全然平気、平気」
千聖くんは包帯に覆われた右腕を振ってみせた。
「……うん。じゃあ、ぼく、もう行くね」
男の子は手の甲で目元を拭った。
千聖くんに、ぺこっと頭を下げてから、保健室を出て行く。
小さな足音は遠ざかり、やがてすぐに聞こえなくなった。
「ありがとうございました」
千聖くんは椅子から立ち上がって、保健室の先生に頭を下げた。


