イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「嫌」
 滑るようにわたしの口から出たのは、否定の言葉。
 自然と手が動いて、わたしは千聖くんの右手を掴んだ。
 さっき、互いに打ち鳴らした右手を。
「わたしだって千聖くんと喋りたいの。先に千聖くんと喋ってたのはわたし。春川さんこそ、空気読んで」
 ――もっと自信を持って。
 わたしは誰よりも素敵な女の子だと、優夜くんはそう言ってくれた。
 千聖くんは、わたしのことを、世界で一番格好良いと言ってくれた。
 わたしには味方が二人もいる。
 だから、相手が誰だろうと、怯える必要なんてない。
 春川さんなんか、怖くない!!
「……はあ?」
 春川さんの綺麗な顔が引きつった。
 反抗されるとは夢にも思わなかった、そんな顔。
 それはそうだ。
 わたしはいつもスクールカーストの頂点にいる彼女の顔色を窺っていた。
 自分の感情を殺してでも、彼女の都合を優先した。
 それこそ、お姫様に従う臣下のように。
 でも、もううんざり。
『良い子』の仮面を脱ぎ捨てた千聖くんを、見倣おう。
 お姫様の引き立て役はもう終わり。
 村人Cがシンデレラになって何が悪い?
 誰が文句を言ったって知ったことか。
『良い子』なんて、クソくらえ、だ!!