イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「いじめっ子っていうのはどれ?」
「……ううん。教室の中にはいないみたい」
 田沼くんたちは廊下にもいなかった。
 ということは、外出中。体育館や校庭にいるのかな。
 ガッカリしながらも、優夜くんに見つかる前にわたしは退散することにした。
「せっかく来たのに、いじめっ子がいなくて残念だね。話しそびれちゃった。でも、優夜くんは楽しそうで良かった」
 廊下を引き返しながら、菜摘ちゃんは微笑んだ。
「うん。このままずっと、優夜くんが笑って過ごせればいいんだけど……あ」
 階段に差し掛かったとき、わたしは目を丸くした。
 ちょうど階段を上ってきたのは、田沼くんたちだった。
「あ。いつも成海と一緒に登校してる女子だ」
 田沼くんがわたしを見上げてそう言った。
 わたしは六年生で、わたしのほうが年上なのに、敬う気は一切ないらしい。
 彼らは想像通りの性格をしているようだ。
 まあ、世の中のいじめっ子なんて大抵がそんなものだろう。
 むしろ、ここで愛想よく「こんにちは」と微笑まれたらびっくりしてしまう。
「こんにちは。ちょっと話をしたいんだけど、いい?」
 わたしはにこやかに微笑んで、彼らに近づいた。
 菜摘ちゃんは階段の上に立ったままだ。
 立ち去ろうとはせず、廊下の端っこに立っている。
 何かあったら助けてくれるか、先生を呼びにいってくれるつもりなのだろう。
 わたしを見守ってくれている菜摘ちゃんの存在は心強かった。
 いじめっ子たちに立ち向かう勇気が湧いてくる。
「なんだよ。何の用?」
 不機嫌そうに田沼くんたちはわたしを睨んできた。
「単刀直入に言うけど。優夜くんに絡むのを止めてくれないかな」
「は? 成海にそう言えって言われたのか?」
「女に頼るとか、ダセー奴」
「ううん、優夜くんは何も言ってないよ。これはわたしが勝手にしてること。わたしは優夜くんが好きなの。困ったり、泣いたりしてる顔を見たくないの。だから、優夜くんにつっかかったりしないで」
 田沼くんたちは呆れたような、馬鹿にしたような顔でわたしを見ている。
 わたしのことなんて全然怖くないみたいだ。
 わたしよりも田沼くんたちのほうが体格が良いから、もし喧嘩になったとしても勝てると思っているのだろう。