イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「昔さ、クラスの奴と喧嘩したとき、相手の親に『これだから父親のいない子は』って言われたことがあるんだよ。母さんまで馬鹿にされて、すげームカついた。そのときからおれは自分を偽ってでも『良い子』になるって決めたんだ。大人が子どもに望むような、おとなしくて、従順で、成績優秀な優等生に」
「…………」
「片親だからって偏見の目で見てくる奴はどうしてもいる。おれが馬鹿なことをしたら母さんに迷惑がかかる。だから、おれは『良い子』でいようとしたんだ」
「そうなんだ……」
 千聖くんが家の外で猫被っているのは知っていた。
 でも、そんなきっかけがあったなんて、知らなかった。
 幼馴染といっても、相手のことを全部知ってるわけじゃない。
 当たり前のことを、いまさらながらに痛感した。
「でも、いまは誠二さんがいる。まだお試し期間ってことで、籍こそ入れてねーけどさ。あの二人、すごく仲が良いし。誠二さんといると、母さんも幸せそうだ。このままいけば多分、予定通り、おれたちが小学校を卒業した後、中学に入る前に結婚すると思う。だから、いまならおれが素を出しても、ちょっとくらい羽目を外しても、大丈夫じゃねーかなって思ったんだ。誠二さんならおれの味方してくれる……よな?」
 あんまり自信はないらしく、千聖くんは確認するようにわたしを見た。
 つい、噴き出す。
「うん。絶対味方してくれるよ。わたしだって、何があっても千聖くんの味方だよ」
 わたしは笑って、繋いだ手に力を込めた。
「ありがと。おれも愛理の味方だ。何があっても」
 千聖くんはわたしの手を力強く握り返してくれた。