イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「あんな、言わなくても当たり前のことをお父さんに頼むってことは、お父さんのこと信じてくれてないのかな、本当はわたしたちと同居することに反対だったのかなって心配になったんだ。嫌なのに、麻弥さんや優夜くんのことを考えて、仕方なく賛成したのかなって、ものすごく不安だった」
「違うよ。誠二さんが父さんみたいに母さんを殴ったり、優夜を怒鳴りつけるような人だと少しでも疑ってるなら、最初から反対してる。母さんや優夜が誠二さんのことが好きだからって関係ない。絶対同居なんてしないし、させない」
 千聖くんは強い口調で否定した。
「あれは一応、念のためっていうか……ただの念押しだよ。おれの父さんは釣った魚に餌をやらないどころか、釣った魚をイジメ倒すような酷い奴だった。不機嫌になるとテーブルを叩いたり、ドアを物凄い勢いで閉めてたから、いまでも優夜はドアの大きな開閉音が苦手だ。間違っても子どもの目の前で母親を殴るような人間にはならないでくれっていう、お願い。心配しなくても、誠二さんが良い人だっていうのはわかってるよ。愛理を見てればわかる。おれは父さんのせいで口が悪くなったし、性格も見事にひん曲がったけど、愛理は素直で、良い子じゃん。子どもを見ればどんな風に育てられたか、ちゃんと愛情をもって育てて貰えてたかって、なんとなくわかる――っていうか、伝わるじゃん。誠二さんは良い人だ」
 繰り返す千聖くんを見て、わたしは微笑んだ。
「うん。ありがとう。千聖くんはお父さんを信じようとしてくれてるんだよね」
 本当のお父さんに酷い目に遭わされたから、千聖くんが大人の男の人を信じるのは難しいはずだ。
 でも、千聖くんは勇気を出して、わたしのお父さんを信じようとしてくれてる。
 それが、すごく嬉しい。
 それに、家族のために、家族を想って頭を下げた千聖くんは格好良かった。ものすごく。
「安心してね。うちのお父さん、外見は普通だし、千聖くんのお父さんと比べたら全然イケてないけど。でもすごく優しいよ。わたしを叱ることはあっても、怒鳴ったことなんてないもん。千聖くんのことも優夜くんのことも麻弥さんのことも、絶対大事にしてくれるよ。わたしが保障する」
 胸を叩いてみせると、千聖くんは笑った。
「だから、それはわかってるって」
 二人で笑い合う。
 それからお喋りしていると、声が聞こえた。