イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「人生で初めて一位になった感想は?」
 わたしが落ち着くのを見計らって、千聖くんが聞いてきた。
 答えは聞かずともわかっているらしく、唇の端をつり上げて。
「……最高っ!」
 わたしは手の甲で荒っぽく目元を擦り、泣きながら笑った。

「わたし、今日のこと忘れないよ。千聖くんと手を繋いで一位になったこと、きっと一生忘れない」
 飛ぶように視界を流れていく景色、生徒たちの声援、わたしの手を強く掴んだ千聖くんの手の感触、二人並んでゴールテープを切った爽快感、青空の下で誇らしげに揺れる一位の旗。
 きっとこの記憶は、一生の思い出になる。

「大げさな」
「大げさなんかじゃないよ。わたしの運動音痴ぶりは知ってるでしょ? 運動会で一位を取れるなんて、奇跡でも起こらなきゃありえないと思ってた。でもなれた。全部千聖くんのおかげだよ、本当にありがとう。夢を叶えてくれて」
 わたしは千聖くんの手を掴んで上下に振った。

「……どういたしまして」
 千聖くんは照れたように、ぶっきらぼうな調子で言って頬を掻いた。

 その後、列に並んで千聖くんと話していると、視線を感じた。

 左手を見れば、春川さんたちが不満そうにこっちを見ている。
 どうしてモブがお姫様を差し置いて王子様の隣にいるのよ、とでも言いたげな目だ。

 でも、わたしは気づかないふりをした。
 だって、いまだけは、誰よりもわたしが一番千聖くんの近くにいたい。