「運動して汗をかく子どもたち用に味を濃い目にしてあるので、誠二さんのお口には合わないかもしれません。ごめんなさい」
「いやいや、わたしは薄味よりも味が濃いほうが好きなんですよ。麻弥さんの手料理が食べられるなんて、わたしは三国一の幸せ者だ。早めに有給を申請しておいて良かった。運動会に来られなかったら、こんな幸せは味わえませんでしたから」
「そんな……」
麻弥さんは照れたようにはにかみ、お父さんが握ったお握りを頬張った。
「あら、中身は梅塩こんぶなんですね。美味しい。わたし、梅塩こんぶ大好きなんですよ」
「そうなんですか、良かった」
目の前でいちゃつく――いちゃついているようにしか見えない――二人を見て、わたしたちは顔を見合わせた。
「……この二人、いつ結婚するんだろうな」
「早く結婚すればいいのにね」
「バレバレだもんねえ。事前リサーチで麻弥さんが梅塩こんぶ好きだって知ってるくせに、お父さん、空とぼけちゃってさ。あざといなあ」
子ども同士で囁き合っていると、頭に幸福の花を咲かせているお父さんがこちらを向いた。
その瞬間、さっと、わたしたちは同時に視線をそらした。
「そういえば、午後の選抜リレー、千聖くんはアンカーに抜擢されたんだってね。これが小学校最後の運動会だ。応援してるから、頑張って」
「はい。頑張ります」
「愛理ちゃんに格好良いところ見せたいものねー」
お茶が入った水筒の蓋を閉めながら麻弥さんが笑った。
「え?」
「な、何言ってんだよ! 別に愛理が見てなくても頑張るし! そのために皆で練習してきたんだから!」
千聖くんはわずかに赤くなった顔を逸らした。
「そう? さっきは愛理ちゃんを一位にしたくて張り切ってたように見えたんだけど、お母さんの気のせいかな?」
「全力疾走だったよね、お兄ちゃん。それに楽しそうだった」
タコさんの形になったウィンナーを頬張りながら、優夜くんも笑った。
「いやいや、わたしは薄味よりも味が濃いほうが好きなんですよ。麻弥さんの手料理が食べられるなんて、わたしは三国一の幸せ者だ。早めに有給を申請しておいて良かった。運動会に来られなかったら、こんな幸せは味わえませんでしたから」
「そんな……」
麻弥さんは照れたようにはにかみ、お父さんが握ったお握りを頬張った。
「あら、中身は梅塩こんぶなんですね。美味しい。わたし、梅塩こんぶ大好きなんですよ」
「そうなんですか、良かった」
目の前でいちゃつく――いちゃついているようにしか見えない――二人を見て、わたしたちは顔を見合わせた。
「……この二人、いつ結婚するんだろうな」
「早く結婚すればいいのにね」
「バレバレだもんねえ。事前リサーチで麻弥さんが梅塩こんぶ好きだって知ってるくせに、お父さん、空とぼけちゃってさ。あざといなあ」
子ども同士で囁き合っていると、頭に幸福の花を咲かせているお父さんがこちらを向いた。
その瞬間、さっと、わたしたちは同時に視線をそらした。
「そういえば、午後の選抜リレー、千聖くんはアンカーに抜擢されたんだってね。これが小学校最後の運動会だ。応援してるから、頑張って」
「はい。頑張ります」
「愛理ちゃんに格好良いところ見せたいものねー」
お茶が入った水筒の蓋を閉めながら麻弥さんが笑った。
「え?」
「な、何言ってんだよ! 別に愛理が見てなくても頑張るし! そのために皆で練習してきたんだから!」
千聖くんはわずかに赤くなった顔を逸らした。
「そう? さっきは愛理ちゃんを一位にしたくて張り切ってたように見えたんだけど、お母さんの気のせいかな?」
「全力疾走だったよね、お兄ちゃん。それに楽しそうだった」
タコさんの形になったウィンナーを頬張りながら、優夜くんも笑った。

