イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

 遠かったはずのゴールテープが凄い勢いで近づいてくる。
 それが目前に迫ったところで、千聖くんは急に速度を落とし、わたしの走る速度に合わせてくれた。
 そのおかげで、わたしたちはほとんど横並びの状態でゴールし、真っ白なゴールテープを切る瞬間を味わうことができたんだ!

「あー、さすがにちょっと疲れたな」
 そう言いつつも、千聖くんの顔には余裕があった。
 だって、息を弾ませながら笑ってるし。

 わたしはもう、疲れ切って、言葉を発することさえできない。
 肺は酸素を求めて暴れ狂い、膝はがくがく揺れて、立っているのがやっと。
 園田さんを助けたとき以来の全力疾走だ。

「…………わ、わたっ……!」
 激しい呼吸の合間に言いかけて、息が詰まり、激しくむせた。
「おい。大丈夫か?」
 俯いて膝に手を置き、ひたすら息を荒らげているわたしの背中を、千聖くんが心配そうに叩く。

「わ、わたしっ!」
 どうにか喋れるようになり、わたしは千聖くんの腕を掴んだ。
「は、初めて、一位っ……じ、人生で、初めて、一位、取れた! 千聖くんの、おかげっ……!!」
 感極まって、目からボロボロ涙が零れる。

「あ、ああ……おめでとう」
 泣くほど喜ぶとは思わなかったらしく、千聖くんは面食らったように目を瞬き、苦笑した。
「でも、浸るのは後にして。ここで突っ立ってたら邪魔になる」
 千聖くんはわたしの手を掴んで引っ張り、一位の旗が立っている列に並び、腰を下ろした。

 泣いているわたしを、待機中の生徒たちがちらちら見ている。
 でもそんなの、この喜びの前ではささいなことだ。

 なにしろ、わたしは絶望的なまでの運動音痴。
 だからこそ、どれほど一位に憧れていたことか……!