イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「あ、来た来た! 二人とも、こっちこっち!」
 午前中のプログラムが終わり、千聖くんと一緒に保護者席に向かうと、水色のビニールシートの上に座る麻弥さんが大きく手を振った。
 緩やかにウェーブする栗色の髪に、整った目鼻立ち。
 麻弥さんは誰もがハッとするほどの美人だ。
 その美しさは、群衆の中にいてもよく目立つ。
「愛理ちゃん、1位おめでとう! わたしの記憶が確かなら、愛理ちゃんが運動会で1位になるのって初めてよね? 今日は1位記念日ね」
 麻弥さんはニコニコしながら重箱の蓋を開けた。
 その隣で、黄色の鉢巻を巻いた優夜くんは紙コップにお茶を注いでくれている。
「お父さん、ちゃーんとばっちり撮ったぞ。帰ったら一緒に見ようね」
 ぽんぽん、とお父さんはビニールシートの隅に置いてあるビデオカメラを叩いた。
「いやー、まさか愛理が運動会で一位になる姿を見られるとは思わなかったよ。これも全部、愛理を引っ張ってくれた千聖くんのおかげだね、ありがとう」
「いえ。どういたしまして」
 千聖くんはほんのちょっと得意げに笑った。
 みんなで「いただきます」を言ってから、昼食を食べ始める。
「たくさん作ったから、愛理ちゃんも誠二さんも、良かったら食べてね」
 麻弥さんは重箱を差し出して言った。
 唐揚げに卵焼き、タコの形をしたウィンナー、ミニトマトとアスパラのベーコン巻き。
 ポテトサラダ、かぼちゃの胡麻和え、あと色々。
 重箱の中には麻弥さんが息子たちのために朝から張り切って作ったのであろうおかずがぎっしり詰まっている。
「これはどうも。わたしのほうのお弁当も良かったら食べてください。麻弥さんの豪華なそれとは、見た目も味も比べ物になりませんが」
 恐縮した様子でお父さんが大きなタッパーを差し出す。
 お父さんの詰めたお弁当の中身は、大きなおにぎりに、冷凍食品の唐揚げとコロッケ、あとは野菜炒めなど。
 本人が言った通り、麻弥さんの美しい重箱と比べると、だいぶ見劣りする。
 でも、冷凍食品の唐揚げを入れてくれと言ったのはわたしだし、お父さんが頑張って作ってくれたのを知っているから、わたしは充分満足だ。
 子どもたちは遠慮なく、タッパーと重箱、両方に手を出した。
 好きなものを摘まんで自分の皿に並べ、和気藹々とお喋りしながら楽しい時間を過ごす。