イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

「黙ってろ!」
 千聖くんは、わたしの手をぎゅーっと掴んで、離さない。
 千聖くんがあまりにも速いから、わたしは転ばないように、必死で足を動かすだけ。
 自力で出したことないスピードに、頭が追いつかなくて、目が回っちゃう!
 遠かったゴールテープが、あっという間に目の前に迫ってくる。
 その時、千聖くんが急にスピードを落として、わたしの走る速さに合わせてくれた。
 おかげで、わたしたちはほとんど横並びでゴール!
 真っ白なゴールテープを、二人で一緒に切る瞬間を味わうことができたんだ!
 ピンと張られていたテープがフワッと体に触れて、地面に落ちていくのを先生たちが片付けてくれる。
「あー、さすがにちょっと疲れたな」
 そう言いつつも、千聖くんは余裕の笑顔。
 わたしはもう、疲れすぎて、声も出ない。
 肺が酸素を求めて大暴れしてるし、膝はガクガク震えて、立っているのがやっとだ。
「……わ、わたしっ……!」
 頑張って声を出そうとしたら、息が詰まっちゃって、ゴホゴホ咳き込んじゃった。
「おい。大丈夫か?」
 わたしがうつむいて膝に手をついていると、千聖くんが心配そうに背中をポンポンしてくれた。
「わ、わたしっ!」
 やっと声が出せるようになって、わたしは千聖くんの腕をぎゅっと掴んだ。
「は、初めてっ、一位になれたっ……! 千聖くんの、おかげでっ……!!」
 嬉しすぎて、目からボロボロ涙が溢れてくる。
「あ、ああ……おめでとう」
 わたしが泣くほど喜ぶとは思ってなかったみたいで、千聖くんは目をパチクリさせて、苦笑いした。
「でも、感動するのは後にして。ここで突っ立ってたら邪魔になるからな」
 千聖くんはわたしの手を引いて、一位の旗が立っている場所に連れて行ってくれた。
 そして、一緒に腰を下ろす。
「良かったな、一位になれて」
「うん。ありがとうね、千聖くん」
「……どういたしまして」
 わたしが微笑むと、千聖くんは照れたみたいに、ちょっとぶっきらぼうな言い方で、頬をポリポリ掻いた。
 その後、一位の列に並んで千聖くんと話していると、なんだか視線を感じた。
 左手を見れば、春川さんたちが不満そうにこっちを見ている。
 どうしてモブがお姫様を差し置いて王子様の隣にいるのよ、とでも言いたそうな目だ。
 でも、わたしは気づかないふりをした。
 だって、いまだけは、誰よりもわたしが一番千聖くんの近くにいたい。