「おれのお父さんとお母さん、離婚するんだ」
時が経ち、小学二年生になった千聖くんがそう言ったのは、この前の水曜日。
雨が降り続く6月のことだった。
「日曜日に、お父さんだけいなくなる」
千聖くんはそう言っていたのに、千聖くんのお父さんはマンションを出るときに優夜くんを連れて行ったらしい。
弟と引き離され、千聖くんは泣いている。
どうしたらいいのかわからなかった。
どうしたら千聖くんの涙を止めることができるんだろう。
おずおずと手を伸ばすと、千聖くんは勢い良くわたしに抱きついた。
わたしの肩に顔を押しつけて、さっきよりも激しく泣き喚く。
泣いている千聖くんの身体は温かい。
わたしの肩に押し付けられた彼の眦は、もっと熱かった。
わたしは無言で千聖くんを抱きしめ返した。
掛ける言葉なんて見つからなくて、ただそうすることしかできなかった。
――これは夢だ。現実じゃない。
冷静なもう一人のわたしが心の中で囁いた。
だって、今日は土曜日だ。
千聖くんのお父さんが出て行くのは明日の日曜日のはずだもん。
………じゃあ、これは明日の出来事?
わたしは未来の夢を見てるの?
それともただの夢なの?
わからない。わからない、でも。
まるで縋りつくようにわたしを抱きしめ、泣きじゃくる千聖くんを見て、わたしは強く、強く思った。
――千聖くんの涙を止めてあげたい。
そう思ったのが、多分、全ての始まりだったんだ。
時が経ち、小学二年生になった千聖くんがそう言ったのは、この前の水曜日。
雨が降り続く6月のことだった。
「日曜日に、お父さんだけいなくなる」
千聖くんはそう言っていたのに、千聖くんのお父さんはマンションを出るときに優夜くんを連れて行ったらしい。
弟と引き離され、千聖くんは泣いている。
どうしたらいいのかわからなかった。
どうしたら千聖くんの涙を止めることができるんだろう。
おずおずと手を伸ばすと、千聖くんは勢い良くわたしに抱きついた。
わたしの肩に顔を押しつけて、さっきよりも激しく泣き喚く。
泣いている千聖くんの身体は温かい。
わたしの肩に押し付けられた彼の眦は、もっと熱かった。
わたしは無言で千聖くんを抱きしめ返した。
掛ける言葉なんて見つからなくて、ただそうすることしかできなかった。
――これは夢だ。現実じゃない。
冷静なもう一人のわたしが心の中で囁いた。
だって、今日は土曜日だ。
千聖くんのお父さんが出て行くのは明日の日曜日のはずだもん。
………じゃあ、これは明日の出来事?
わたしは未来の夢を見てるの?
それともただの夢なの?
わからない。わからない、でも。
まるで縋りつくようにわたしを抱きしめ、泣きじゃくる千聖くんを見て、わたしは強く、強く思った。
――千聖くんの涙を止めてあげたい。
そう思ったのが、多分、全ての始まりだったんだ。

