「あっ。おっはよー、成海くん!」
「おはよー」
「おはよう菊池さん、谷垣さん」
教室に入って早々、千聖くんは扉の近くで会話していた女子たちに声をかけられた。
そのまま捕まってしまった千聖くんの横を通り過ぎ、窓際の自分の席に座る。
「おはよう、愛理ちゃん」
ランドセルから教科書を取り出していると、友達の河本菜摘ちゃんが近づいてきた。
ゆるめに縛られた二つのお下げに、くりっとした瞳。わたしよりも小さな身体。
一見するとおとなしそうだけど、菜摘ちゃんは意外とハッキリ自分の意思を言うタイプだ。
「おはよう」
朝の挨拶を交わしてから、流行りの動画の話で盛り上がる。
その最中、教室の隅っこで会話しているクラスメイトの声が耳に届いた。
「知ってる? 今朝、三丁目の交差点で事故があったらしいよ。わき見運転してた車が角のメロンパン屋さんに突っ込んだんだって」
「えー、わき見運転とか、百パーセント運転手が悪いじゃん。どーせスマホ見てたんでしょ。いるよね、スマホ見ながら自転車漕いでる奴とかさ。ほんと迷惑」
「ねえ、もしかしてさ……その運転手、死んだりしたの?」
「ううん、無事みたい。事故に巻き込まれた人もいないって。奇跡的に怪我人ゼロだってさ」
「そうなんだ、良かったね」
クラスメイトたちの声を聞いて、わたしはちょっと誇らしい気持ちになった。
本来なら園田さんが事故に巻き込まれるところだった。
その未来を変えたのはわたしと千聖くんだ。
心の中でくらい、自慢したっていいよね。
菜摘ちゃんと会話しながら、わたしは教室の斜め前方、廊下側の席に座る千聖くんを見た。
学校では『爽やか王子様』として愛想よく振る舞っている千聖くんはクラスの人気者。
今朝も彼の周りには数人の男女がいて、楽しそうに笑っていた。
いま千聖くんと喋っているのは、千聖くんの前の席の女子。
クラスで一番可愛い、クラス委員の春川芽衣《はるかわめい》。
腰まで届く濡れ羽色のまっすぐな髪。
黒髪に映える真っ白なカチューシャ。
アーモンド形の目を縁取る長いまつ毛。
今日の服装はリボンのついたニットのセーターに、控えめなフリルのついたスカート。
美男美女同士、談笑する二人の姿は実にお似合いだった。
「おはよー」
「おはよう菊池さん、谷垣さん」
教室に入って早々、千聖くんは扉の近くで会話していた女子たちに声をかけられた。
そのまま捕まってしまった千聖くんの横を通り過ぎ、窓際の自分の席に座る。
「おはよう、愛理ちゃん」
ランドセルから教科書を取り出していると、友達の河本菜摘ちゃんが近づいてきた。
ゆるめに縛られた二つのお下げに、くりっとした瞳。わたしよりも小さな身体。
一見するとおとなしそうだけど、菜摘ちゃんは意外とハッキリ自分の意思を言うタイプだ。
「おはよう」
朝の挨拶を交わしてから、流行りの動画の話で盛り上がる。
その最中、教室の隅っこで会話しているクラスメイトの声が耳に届いた。
「知ってる? 今朝、三丁目の交差点で事故があったらしいよ。わき見運転してた車が角のメロンパン屋さんに突っ込んだんだって」
「えー、わき見運転とか、百パーセント運転手が悪いじゃん。どーせスマホ見てたんでしょ。いるよね、スマホ見ながら自転車漕いでる奴とかさ。ほんと迷惑」
「ねえ、もしかしてさ……その運転手、死んだりしたの?」
「ううん、無事みたい。事故に巻き込まれた人もいないって。奇跡的に怪我人ゼロだってさ」
「そうなんだ、良かったね」
クラスメイトたちの声を聞いて、わたしはちょっと誇らしい気持ちになった。
本来なら園田さんが事故に巻き込まれるところだった。
その未来を変えたのはわたしと千聖くんだ。
心の中でくらい、自慢したっていいよね。
菜摘ちゃんと会話しながら、わたしは教室の斜め前方、廊下側の席に座る千聖くんを見た。
学校では『爽やか王子様』として愛想よく振る舞っている千聖くんはクラスの人気者。
今朝も彼の周りには数人の男女がいて、楽しそうに笑っていた。
いま千聖くんと喋っているのは、千聖くんの前の席の女子。
クラスで一番可愛い、クラス委員の春川芽衣《はるかわめい》。
腰まで届く濡れ羽色のまっすぐな髪。
黒髪に映える真っ白なカチューシャ。
アーモンド形の目を縁取る長いまつ毛。
今日の服装はリボンのついたニットのセーターに、控えめなフリルのついたスカート。
美男美女同士、談笑する二人の姿は実にお似合いだった。

