イケメン兄弟はわたしに夢中!?〜幼なじみが家族になった〜

 わたしたちが通う時坂(ときさか)小学校に着くと、校門の前に優夜くんがいた。
 ノンフレームの眼鏡をかけた優夜くんは千聖くんに良く似ている。
 千聖くんをちょっと小さくしたら、そのまま優夜くんになりそうだ。
 つまり、優夜くんも超イケメン。
 性格も優しくて、面倒見も良いから、男女問わずにモテる。
 きょろきょろ辺りを見回していた優夜くんは、わたしたちをすぐに見つけて近づいてきた。
 彼の緑色のランドセルにもわたしたちとお揃いの猫のキーホルダーがついていて、彼が歩くたびに揺れた。
「置いてった」
「ごめん」
 珍しく不機嫌そうな弟を見て、千聖くんは素直に謝った。
「もう。大丈夫だったの? お母さんも心配してたよ?」
「うん。事故は起きたけど、運転手も誰も怪我してないし、大丈夫だよ。さっき、コンビニで母さんにもラインしといた」
 千聖くんは微笑みを浮かべ、穏やかな口調で言った。
 登校中の生徒たちに見られているから、千聖くんは猫被りモードだ。
 素の彼はもっと乱暴な言葉遣いをするし、意味もなく微笑みを浮かべたりしない。
「大丈夫だったなら良いんだけど……愛理ちゃん」
「はい」
 呼び掛けられて、わたしはぴっと背筋を伸ばした。
 優夜くんは普段はとても優しい良い子だけど、怒ると怖い。
 それはもう、ものすごく。
「事故現場に近づくなんて危ないでしょう」
「でも、行かないと園田さんが車にはねられてたから……」
「……それはそうかもしれないけど……」
 優夜くんは口ごもって、ため息をついた。
「……ぼくは愛理ちゃんに危ない目に遭って欲しくない」
「うん。ありがとう、優夜くん」
 わたしは微笑んで、優夜くんと千聖くんと一緒に歩き出した。
 イケメン兄弟に挟まれて歩くわたしを、生徒たちが――特に女子生徒たちが――チラチラ見てくる。羨ましそうな目で。