「で、愛理はお腹減ってないのか? 昼まで我慢できるならこのまま学校行くけど、どうする?」
「…………。実はすごく減ってる」
全力疾走したせいで、きゅう、とお腹の虫が鳴いている。
「やっぱり減ってんじゃん」
千聖くんは小さく笑って、コンビニに向かって歩き出した。
朝の風に吹かれて、彼の茶色の髪がふわふわ揺れている。
羨ましいくらいに彼の髪はサラサラで、ツヤツヤ。
わたしの髪とは大違い。
わたしを生んですぐに亡くなったお母さん譲りのわたしの髪はひどい癖っ毛だ。
今日は寝起きそのままな上に、かなりの距離を走ったから、大爆発してる……。
すれ違った綺麗な女の人に、「まあ、すごい頭」みたいに笑われて、わたしは急に恥ずかしくなった。
少し遅れて歩いていると、千聖くんが立ち止まって振り返った。
「なんでそんな後ろにいるんだよ」
「だって……わたしの頭、今日は櫛も通してないから、爆発してるし……」
わたしは友達から「美人」とか「可愛い」とか言われたことないけど、千聖くんは人形みたいに綺麗な顔をしていて、いろんな人から褒められまくっている。
クラスの女子も、他のクラスの女子も、みんな千聖くんのファンだ。
「千聖くんはすごく格好良いからさ。並んで歩くのは恥ずかしいんだよ……」
ボサボサの頭を押さえて俯いていると、千聖くんは呆れ顔になった。
「馬鹿じゃねーの」
「馬鹿って言わないでよ! 馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだよ!?」
ムッとして口を尖らせる。
「うるせー、馬鹿に馬鹿って言って何が悪い」
千聖くんは言い返してきた。
「愛理は櫛を通す暇も惜しんで一生懸命人助けしたんだろ。それはすごいことだよ」
「すごい……?」
「ああ。おれだったら誰かが傷つく予知夢を見たって、知らんぷりするよ。家族とか友達なら助けるけど、赤の他人を助けるなんて面倒くさいし大変なだけじゃん。『あなたが不幸になる未来を見ました』って伝えたところで、大抵は『何言ってんだ馬鹿かコイツ?』で終わりだし。愛理だって、これまで何回も予知夢のことを他人に話して馬鹿にされてきただろ。おれなら馬鹿にされた時点で助けねーよ。そのまま不幸になれ、ざまーみろって思う」
千聖くんはズバッと言った。
「…………。実はすごく減ってる」
全力疾走したせいで、きゅう、とお腹の虫が鳴いている。
「やっぱり減ってんじゃん」
千聖くんは小さく笑って、コンビニに向かって歩き出した。
朝の風に吹かれて、彼の茶色の髪がふわふわ揺れている。
羨ましいくらいに彼の髪はサラサラで、ツヤツヤ。
わたしの髪とは大違い。
わたしを生んですぐに亡くなったお母さん譲りのわたしの髪はひどい癖っ毛だ。
今日は寝起きそのままな上に、かなりの距離を走ったから、大爆発してる……。
すれ違った綺麗な女の人に、「まあ、すごい頭」みたいに笑われて、わたしは急に恥ずかしくなった。
少し遅れて歩いていると、千聖くんが立ち止まって振り返った。
「なんでそんな後ろにいるんだよ」
「だって……わたしの頭、今日は櫛も通してないから、爆発してるし……」
わたしは友達から「美人」とか「可愛い」とか言われたことないけど、千聖くんは人形みたいに綺麗な顔をしていて、いろんな人から褒められまくっている。
クラスの女子も、他のクラスの女子も、みんな千聖くんのファンだ。
「千聖くんはすごく格好良いからさ。並んで歩くのは恥ずかしいんだよ……」
ボサボサの頭を押さえて俯いていると、千聖くんは呆れ顔になった。
「馬鹿じゃねーの」
「馬鹿って言わないでよ! 馬鹿って言ったほうが馬鹿なんだよ!?」
ムッとして口を尖らせる。
「うるせー、馬鹿に馬鹿って言って何が悪い」
千聖くんは言い返してきた。
「愛理は櫛を通す暇も惜しんで一生懸命人助けしたんだろ。それはすごいことだよ」
「すごい……?」
「ああ。おれだったら誰かが傷つく予知夢を見たって、知らんぷりするよ。家族とか友達なら助けるけど、赤の他人を助けるなんて面倒くさいし大変なだけじゃん。『あなたが不幸になる未来を見ました』って伝えたところで、大抵は『何言ってんだ馬鹿かコイツ?』で終わりだし。愛理だって、これまで何回も予知夢のことを他人に話して馬鹿にされてきただろ。おれなら馬鹿にされた時点で助けねーよ。そのまま不幸になれ、ざまーみろって思う」
千聖くんはズバッと言った。



