「やっぱりうちの娘、天使ね。見て、おばさん。このエメラルドに青が混ざったような、透明感のある目! 白っぽい金色が、陽に当たると青く反射する髪! あーん、やっぱり私、天使を生んだのね!」
「つけ上がるから言わなかったけどね、レティシア。この子の顔、アンタに生き写しで、将来が楽しみな別嬪さんだよ!」
「やっだぁ、おばさん! 私もそう思う! 嬉しい!」
なんて会話を、ご近所のおばさんと普段からしているくらい、娘自慢が大好き。自他共に認める美人な母――レティシアのもと、私はすくすく育った。
ちなみに母の髪は、蜂蜜色。陽に当たると青みが出る。瞳は、エメラルドグリーンだ。
赤ん坊の頃から私は、宝石やアクセサリーが大好きだった。今にして思えば一番、純真無垢。年相応の子供らしい時期だったわ。
転機が訪れたのは、初めて父親という存在を認識し、最低最悪となった五歳の誕生日。
「待て、レティシア!」
「奥様を蔑ろにして、また私に言い寄る気!? しがない子爵令息!? 婚約者すらいない!? 全っ部嘘だったじゃない! アンタの言葉に騙された、自分が恥ずかしいわ! 出てけ! 不倫男! ここは平民の町よ! 貴族と違って、不倫は許されない! アンタみたいな浮気男、こっちから願い下げよ!」
「なんだと! たかが平民が! それも女の分際で生意気な! 顔だけが取り柄の馬鹿女が、調子に乗るな!」
――バシン!
突然尋ねてきた父親は、母と口論の末、くすんだ白髪を振り乱し、力任せに母の頬を打った。
母は勢いよく家具にぶつかり、床に伏す。
「お母さん!」
言いつけ通り物陰に隠れていた私は、母に駆け寄った。
痛みをこらえるように腕を押さえ、体を起こした母のこめかみから、血が流れ始める。
「カエナ、大丈夫だから、あっちに行ってて。ね?」
「あ……お、お母さん……」
突然出現した父親の暴力と母の流血姿に、幼児の私は大ショック。
それが引き金となり、脳内に「ピシャーン!」と雷が落ちたかのような衝撃が走る。
「つけ上がるから言わなかったけどね、レティシア。この子の顔、アンタに生き写しで、将来が楽しみな別嬪さんだよ!」
「やっだぁ、おばさん! 私もそう思う! 嬉しい!」
なんて会話を、ご近所のおばさんと普段からしているくらい、娘自慢が大好き。自他共に認める美人な母――レティシアのもと、私はすくすく育った。
ちなみに母の髪は、蜂蜜色。陽に当たると青みが出る。瞳は、エメラルドグリーンだ。
赤ん坊の頃から私は、宝石やアクセサリーが大好きだった。今にして思えば一番、純真無垢。年相応の子供らしい時期だったわ。
転機が訪れたのは、初めて父親という存在を認識し、最低最悪となった五歳の誕生日。
「待て、レティシア!」
「奥様を蔑ろにして、また私に言い寄る気!? しがない子爵令息!? 婚約者すらいない!? 全っ部嘘だったじゃない! アンタの言葉に騙された、自分が恥ずかしいわ! 出てけ! 不倫男! ここは平民の町よ! 貴族と違って、不倫は許されない! アンタみたいな浮気男、こっちから願い下げよ!」
「なんだと! たかが平民が! それも女の分際で生意気な! 顔だけが取り柄の馬鹿女が、調子に乗るな!」
――バシン!
突然尋ねてきた父親は、母と口論の末、くすんだ白髪を振り乱し、力任せに母の頬を打った。
母は勢いよく家具にぶつかり、床に伏す。
「お母さん!」
言いつけ通り物陰に隠れていた私は、母に駆け寄った。
痛みをこらえるように腕を押さえ、体を起こした母のこめかみから、血が流れ始める。
「カエナ、大丈夫だから、あっちに行ってて。ね?」
「あ……お、お母さん……」
突然出現した父親の暴力と母の流血姿に、幼児の私は大ショック。
それが引き金となり、脳内に「ピシャーン!」と雷が落ちたかのような衝撃が走る。


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