抱えきれないほどの愛に。

―――「…連絡先、全部消して」


長い静けさの中でふいに低い声がそう呟いた。



「……俺の前で消して」


冷たくなった手でぎゅっとスマホを握った。


手汗が滲んで、背筋が凍るような感覚。


「……消さ、っない。…絶対に…けさな…」


「ただ安心したいだけだよ。



…葉音の世界が俺だけになるように」


更に低く、地を這うような声が耳をこだました。


それは、異常だった。


……この時、はっきりと気づいた。


彼は、尋常ではない。


彼は……



おかしい、と。


やっと、気づいた。