君の隣、1メートル

---彼とは、物心ついた時からずっと隣にいることが普通だった。

別に特別なことではなかった。
帰り道が同じで、隣を歩いて、どうでもいい話をしていただけ。

いつからだったのかは、思い出せない。
気づいたら、声をかけるのができなくなった。

時間が経つごとに私たちの距離は空いてしまった。

名前を呼ばなくなって、目が合っても手を振らなくなってそれが普通になった。

「...何」

その言葉に、責める色はなかった。
ただ、距離を確かめるようないつも隣で聞いていた声。

1メートルもない。
でも、私たちの空いた距離には積み重なった時間がある。

仲が良かったことも、離れてしまったことも、どちらももう戻らない。

それでも隣に立ってしまえば、思い出してしまう。

---君の隣、1メートル