私の体にメスを入れて

体を起こしてテーブルの方を見れば、いつものようにメモが置かれていた。この前と同じ文章。それでも、胸が高鳴っていく。

「変よね。本当の名前すら知らないのに」

カーテンを開ける。すっかり日は昇っていた。普段ならば仕事があるため、とっくの昔に気怠い体に鞭を打って起きている。でも今日は休みだ。ゆっくりできる。

(緑川さんと一日、協力者と公安警察という関係を忘れて一緒に過ごせたら……)

そんな甘い空想を頭の中で描きながら、スマホを手に取る。緑川に連絡を取ろうとしてやめた。こんなこと、永遠に叶うわけがない。

「甘いものでも食べに行こうかな」

沈んだ今の気持ちを何とかできるのはきっと甘いものだけだ。このホテルの周辺にはおしゃれなカフェも多い。

私はバスルームへと向かった。



のんびりと支度をした後、私はホテルをチェックアウトしてブラブラと通りを歩いた。平日ということもあり、通りを歩く人は休日ほど多くはない。どのカフェも空いていそうだった。