私の体にメスを入れて

これは、シンデレラのかけられた魔法と同じ。ひと時の夢だ。

(この手をずっと繋いでいられたらいいのに……)

愛なんて信じないはずなのに。私はどうかしている。



パーティーでの潜入捜査が終わった後、私と緑川はいつものようにホテルへと向かった。ホテルの部屋に入ると、緑川が私に口付ける。私もそれに応え、いつの間にかドレスは脱がされていた。

「早乙女」

緑川が苗字を呼ぶ。私も「緑川さん」と偽物の苗字を呼んだ。

互いに頰に触れる。ベッドに倒れ込む。そしてーーー長いようで短い夜が幕を開ける。

「早乙女」

何度も苗字を緑川は呼ぶ。私も「緑川さん」と答える。熱を帯びていく体とは真逆に、どこか冷えている心の片隅で思う。

(私の名前を呼んではくれないし、本当の名前を教えてはくれないのね……)

唇がもう一度重なった。



目を開けると、カーテンの隙間から光が差し込んでいた。寝返りを打てば、ヒヤリと冷たい感触。隣に緑川はいない。