私の体にメスを入れて

「すまない。流華……」

海斗さんはそう言い、話し始めた。あの日、デートをしていた女性は上司に無理やりセッティングされて一度会ったお見合い相手だという。その相手は海斗との結婚に乗り気だそうだ。

「俺はあの人と結婚は考えられない。だけど、上司の命令で結婚することはほとんど決まってるようなものなんだ」

海斗さんが結婚してしまったら、もう私は協力者ではいられないだろう。永遠にお別れだ。

海斗さんは展望台の方を見つめる。彼の言いたいことは何となくわかった。私も同じ方向を見つめる。

「……海斗さん。逝きましょうか」

「すまない。ありがとう」

一人だったら怖くてこんな決断はできなかった。でも二人一緒に死ねるなら、怖くない。

海斗さんが私を強く抱き締める。私も負けじと海斗さんを抱き締めた。

そして、私たちの体は夜空を舞った。