私の体にメスを入れて

震える声で私が緑川を呼ぶと、彼は首を横に振った。

「黒谷海斗(くろたにかいと)。俺の本当の名前は黒谷海斗だ」

「海斗……さん?」

「ああ。流華」

「海斗さん」

本当の名前を呼び合う。出会って三年で初めて緑川のーーーううん、海斗さんの名前を知った。嬉しすぎておかしくなってしまいそうだ。

「……俺は、ずっと気持ちを隠していた。君が好きだ」

海斗さんの気持ちが心の奥に入り込む。ああ、嬉しいな。涙はもう止まらない。

「海斗さん」

「流華」

互いの唇が触れた。今までキスをしたことは何度もある。でも、想いが通じ合ってからのキスは特別に思えた。何度も何度も唇が重なる。

(溶けてしまいそう……)

ずっとこのまま骨になるまでいたい。そう強く思った。唇が名残惜しそうに離れた後、海斗さんが言う。

「君を愛してる」

「私も、愛しています」

海斗さんの目が見開かれる。大きな手が頬を撫でた。でも、その顔はどこか悲しそうだ。