私の体にメスを入れて

「食事の後もまだ時間は大丈夫か?」

緑川に訊ねられ、私は頷く。どこかのホテルでも行くのか。そう思っていた。でも、緑川に連れて行かれたのは展望台だった。

「綺麗……」

街のネオンが煌めいて、まるで宝石箱のようだ。私は景色を見つめながら、緑川の協力者になった日のことを思い返す。もう三年も前のことだ。

私はとある事件に巻き込まれたことで、緑川が公安警察であることを知った。そして、彼から「協力者になってほしい」と頼まれた。ーーー緑川と出会って、私の人生も感情も大きく変わってしまったの。

「流華」

その一言に、私は勢いよく振り返った。緑川が私の名前を初めて呼んだ。緑川は、今にも消えてしまいそうな表情をしていて、思わず彼に駆け寄って手を掴む。

「流華」

緑川がもう一度私の名前を読んだ。私の目の前がぼやけて、涙が溢れていく。

(私、何で泣いてるんだろう?)

理由なんて知らない。でも、涙は止まらなかった。

「緑川さん」