体育祭。
それは自他共に認める運動音痴のわたしにとって、五月末に行われた中間テストよりもよほど恐ろしく、忌むべき行事である。
わたしは前日にてるてる坊主を10個も作り、逆さまにして窓辺に吊るした。
でも、どうやら無駄な抵抗だったらしい。
「…………」
六月五日の土曜日。
わたしは晴れ渡った青空を呪いながら、いつもより早めに家を出た。
というのも、わたしは体育祭実行委員なので他のメンバーたちと準備をしなきゃいけないのだ。
なんで体育祭実行委員になったかといえば、ひとえに「体育祭実行委員は体育祭準備と当日の進行役をしなければならないため、出場する競技が少なくて済む」というメリットによる。
それと、体育祭実行委員決めの際に吉住さんから「運動能力ゼロの足手まといは、せめてサポート面でクラスの役に立ったらどう?」という嫌味を浴びせられたから。
拓馬の怪我が完治した後も、彼女は事あるごとにネチネチ言ってくる。
拓馬に怒られることを危惧してか、虐めというほど大げさなものじゃないけれど、わたしは彼女たちのグループから嫌われていた。
「よう緑地、黒瀬。今日は期待してるぜー」
そんな声が聞こえて、わたしは右手を見た。
緑地くんと拓馬が歩いてくる。
緑地くんは気合十分らしく、頭に水色の鉢巻きを巻いていた。
「おう、任せとけ。体調もばっちりだし、二組の加藤だって抜いてみせるぜ」
白い歯を覗かせて、快活に緑地くんが笑う。
拓馬も緑地くんも運動神経がいい。
それに比べて、前世から現世に至るまで、わたしは運動能力を試されるあらゆる種目において一位を取ったことがない。
白いゴールテープを切るのって、さぞかし爽快なんだろうな。
人生で一度だけでもその爽快感を味わってみたいけれど、自分の絶望的な運動能力を鑑みれば、それが夢物語であることくらいわかっていた。
それは自他共に認める運動音痴のわたしにとって、五月末に行われた中間テストよりもよほど恐ろしく、忌むべき行事である。
わたしは前日にてるてる坊主を10個も作り、逆さまにして窓辺に吊るした。
でも、どうやら無駄な抵抗だったらしい。
「…………」
六月五日の土曜日。
わたしは晴れ渡った青空を呪いながら、いつもより早めに家を出た。
というのも、わたしは体育祭実行委員なので他のメンバーたちと準備をしなきゃいけないのだ。
なんで体育祭実行委員になったかといえば、ひとえに「体育祭実行委員は体育祭準備と当日の進行役をしなければならないため、出場する競技が少なくて済む」というメリットによる。
それと、体育祭実行委員決めの際に吉住さんから「運動能力ゼロの足手まといは、せめてサポート面でクラスの役に立ったらどう?」という嫌味を浴びせられたから。
拓馬の怪我が完治した後も、彼女は事あるごとにネチネチ言ってくる。
拓馬に怒られることを危惧してか、虐めというほど大げさなものじゃないけれど、わたしは彼女たちのグループから嫌われていた。
「よう緑地、黒瀬。今日は期待してるぜー」
そんな声が聞こえて、わたしは右手を見た。
緑地くんと拓馬が歩いてくる。
緑地くんは気合十分らしく、頭に水色の鉢巻きを巻いていた。
「おう、任せとけ。体調もばっちりだし、二組の加藤だって抜いてみせるぜ」
白い歯を覗かせて、快活に緑地くんが笑う。
拓馬も緑地くんも運動神経がいい。
それに比べて、前世から現世に至るまで、わたしは運動能力を試されるあらゆる種目において一位を取ったことがない。
白いゴールテープを切るのって、さぞかし爽快なんだろうな。
人生で一度だけでもその爽快感を味わってみたいけれど、自分の絶望的な運動能力を鑑みれば、それが夢物語であることくらいわかっていた。
