「ううううう……」
ひんやりした机に頬をくっつけたまま唸っていると、走る足音が聞こえて、視聴覚室の扉が勢い良く開いた。
その勢いに驚いて、わたしは顔を上げた。
斜め右前、開いた扉の先に拓馬が立っていた。ここまで全速力で走って来たらしく、肩を上下させて。息を切らせて。
その左手にはわたしの日記帳を持っている。
「悠理」
拓馬が呼んだのは、わたしの苗字ではなく、名前。
瞬時に全てを悟り、わたしは弾かれたように立ち上がった。
椅子ががたんと揺れて、後ろの席にぶつかって跳ね返り、その振動が接触した足を通じて伝わる。
わたしは急いで席を離れ、前方へと移動した。
拓馬はわたしを見つめたまま部屋に入って来た。
光を取り戻したその目には、もう敵意も悪意も見当たらない。
「……ハッピーエンド以外は許さないからね」
有栖先輩はとびきり優しい微笑みを残し、視聴覚室を出て行った。
由香ちゃんは笑顔でピースサインをし、リスを肩に乗せた陸先輩もわずかに口の端を持ち上げ、そうして三人が去る。
扉が閉まり、大福も無言で姿を消した。
後に残ったわたしたちは、向かい合って立った。
拓馬の呼吸音すら聞こえてきそうなほど、部屋は静かだ。
一日千秋の思いで待っていたはずなのに、いざそのときを迎えると言葉が出ない。
どうしよう。何を言おう。何をどう話せばいいのか。
ひんやりした机に頬をくっつけたまま唸っていると、走る足音が聞こえて、視聴覚室の扉が勢い良く開いた。
その勢いに驚いて、わたしは顔を上げた。
斜め右前、開いた扉の先に拓馬が立っていた。ここまで全速力で走って来たらしく、肩を上下させて。息を切らせて。
その左手にはわたしの日記帳を持っている。
「悠理」
拓馬が呼んだのは、わたしの苗字ではなく、名前。
瞬時に全てを悟り、わたしは弾かれたように立ち上がった。
椅子ががたんと揺れて、後ろの席にぶつかって跳ね返り、その振動が接触した足を通じて伝わる。
わたしは急いで席を離れ、前方へと移動した。
拓馬はわたしを見つめたまま部屋に入って来た。
光を取り戻したその目には、もう敵意も悪意も見当たらない。
「……ハッピーエンド以外は許さないからね」
有栖先輩はとびきり優しい微笑みを残し、視聴覚室を出て行った。
由香ちゃんは笑顔でピースサインをし、リスを肩に乗せた陸先輩もわずかに口の端を持ち上げ、そうして三人が去る。
扉が閉まり、大福も無言で姿を消した。
後に残ったわたしたちは、向かい合って立った。
拓馬の呼吸音すら聞こえてきそうなほど、部屋は静かだ。
一日千秋の思いで待っていたはずなのに、いざそのときを迎えると言葉が出ない。
どうしよう。何を言おう。何をどう話せばいいのか。

