「ううん、由香ちゃんは事実を言っただけなんだから謝ることないよ……本当に黒瀬くんには悪いことしちゃった。明日会ったら、しつこいと怒られること覚悟で、もう一度謝っておくよ……」
「え、ええと、でもさ。黒瀬くん、凄かったよね!」
由香ちゃんは酷く焦りながら、早口で言った。
「吉住さんを正論で打ち負かして、皆の前で堂々と悠理ちゃんを庇った姿、本当に格好良かった。黒瀬くんのファンは多いから、これから悠理ちゃんがその子たちに虐められるんじゃないかって心配したけど、その心配は黒瀬くん自身が解消してくれた。わたし、見てて感動しちゃったよ。悠理ちゃん、黒瀬くんのこと好きになったんじゃない?」
「へっ?」
わたしが目を丸くすると、由香ちゃんは微笑んだ。
「だって、恋人にするみたいに肩を掴んで抱き寄せられたんだよ? 誰だって惚れちゃうよ、あんなことされたら」
「いやいや、そんなことないよ。びっくりしたし、思い返す度に心臓が爆発しそうだけど、惚れてはない! 誓って惚れてなんかないから!」
「でも、思い返す度に心臓が爆発しそうになってる時点で――」
「ないから! 違うから! わたしはモブだから! 彼の運命の相手は別にいるから!」
わたしは机に手をついて身を乗り出し、熱弁した。
「え? 何言ってるの、悠理ちゃん」
由香ちゃんは面食らったように目を瞬いた。
「あ……いや、その。ええと」
わたしは浮かせていた腰を椅子に落とし、視線を泳がせた。
由香ちゃんにとって、この世界は紛れもない現実だ。
わたしにとっては、ここは乙女ゲームの世界だなんて言っても理解できないだろう。
由香ちゃんなら馬鹿にしたりせず、理解する努力はしてくれそうだけれど、彼女を混乱させるのはわたしの望みじゃない。
「どういうことなの? 黒瀬くんの運命の相手が別にいるって」
由香ちゃんは不思議そうに首を傾げている。
「いや、気にしないで。ただの戯言だと思って忘れて。疲れてるのかなー、わたし、あはは……あっそうだ、せっかくだし課題のプリント一緒にやろうよ!」
「え、ええと、でもさ。黒瀬くん、凄かったよね!」
由香ちゃんは酷く焦りながら、早口で言った。
「吉住さんを正論で打ち負かして、皆の前で堂々と悠理ちゃんを庇った姿、本当に格好良かった。黒瀬くんのファンは多いから、これから悠理ちゃんがその子たちに虐められるんじゃないかって心配したけど、その心配は黒瀬くん自身が解消してくれた。わたし、見てて感動しちゃったよ。悠理ちゃん、黒瀬くんのこと好きになったんじゃない?」
「へっ?」
わたしが目を丸くすると、由香ちゃんは微笑んだ。
「だって、恋人にするみたいに肩を掴んで抱き寄せられたんだよ? 誰だって惚れちゃうよ、あんなことされたら」
「いやいや、そんなことないよ。びっくりしたし、思い返す度に心臓が爆発しそうだけど、惚れてはない! 誓って惚れてなんかないから!」
「でも、思い返す度に心臓が爆発しそうになってる時点で――」
「ないから! 違うから! わたしはモブだから! 彼の運命の相手は別にいるから!」
わたしは机に手をついて身を乗り出し、熱弁した。
「え? 何言ってるの、悠理ちゃん」
由香ちゃんは面食らったように目を瞬いた。
「あ……いや、その。ええと」
わたしは浮かせていた腰を椅子に落とし、視線を泳がせた。
由香ちゃんにとって、この世界は紛れもない現実だ。
わたしにとっては、ここは乙女ゲームの世界だなんて言っても理解できないだろう。
由香ちゃんなら馬鹿にしたりせず、理解する努力はしてくれそうだけれど、彼女を混乱させるのはわたしの望みじゃない。
「どういうことなの? 黒瀬くんの運命の相手が別にいるって」
由香ちゃんは不思議そうに首を傾げている。
「いや、気にしないで。ただの戯言だと思って忘れて。疲れてるのかなー、わたし、あはは……あっそうだ、せっかくだし課題のプリント一緒にやろうよ!」
