9月6日の日記は泣きながら書いていたらしく、文字がところどころ滲んでいた。
どんなにめくっても、それ以降のページは白紙だ。
おれは無言で日記帳を閉じた。
「感想は?」
表情の変化から何かを察したらしく、幸太は不敵に笑った。
「……思い出した」
大福とか、モブとかヒロインとか、ところどころよくわからない単語が出てきたが、そんなの些末事だ。
日記帳から伝わって来たのは、痛いくらいにストレートな、悠理の気持ち。
――ねえ拓馬。好きだよ。
これまで何度も見てきたあいつの笑顔が、鮮やかに脳裏に浮かんだ。
――大好き。愛してるの。
いつだって手の込んだ料理を作り、態度や言動で好意を示してくれた少女が、文章を通して、強く強く、おれの心に訴えかけてきた。
――ずっと傍にいたい。誰よりも、あなたの傍にいたいの。
悠理の真心はおれに流れ込み、呼応するように、おれの真心が――押し潰されていた感情の芽が次々と芽吹いていった。
それらはたちまち花開き、おれの心を埋め尽くして、嘘に塗れた現実を塗り替えていった。
まさに夢から覚めた気分だ。
何故こんな夢を見ていたのだろう。
いまならはっきりわかる。断言できる。
「おれが好きなのは悠理だ。乃亜じゃない」
「よっしゃあ!!」
幸太が満面の笑みでガッツポーズを決めた。
「ののっちは視聴覚室だ、行ってこい!!」
幸太に思いっきり背中を押されて、おれは全速力で走り出した。
――拓馬のことが好きだった。初めて出会ったときから、ずっと……ずっと好きでした。
悠理はそう言ってくれたのに、おれは酷い言葉を返した。
呼び捨てにするなと怒り、気持ち悪いと詰って、悠理を泣かせた。
さっきも疑って、冷たくして、また傷つけた。
手を強く握る。爪が皮膚を突き破るほど強く。
何故あんなことを言ってしまったのだろう。自己嫌悪で死にたくなる。
謝れば許してくれるだろうか。
あいつはまだ、おれを待っていてくれるだろうか。
どんなにめくっても、それ以降のページは白紙だ。
おれは無言で日記帳を閉じた。
「感想は?」
表情の変化から何かを察したらしく、幸太は不敵に笑った。
「……思い出した」
大福とか、モブとかヒロインとか、ところどころよくわからない単語が出てきたが、そんなの些末事だ。
日記帳から伝わって来たのは、痛いくらいにストレートな、悠理の気持ち。
――ねえ拓馬。好きだよ。
これまで何度も見てきたあいつの笑顔が、鮮やかに脳裏に浮かんだ。
――大好き。愛してるの。
いつだって手の込んだ料理を作り、態度や言動で好意を示してくれた少女が、文章を通して、強く強く、おれの心に訴えかけてきた。
――ずっと傍にいたい。誰よりも、あなたの傍にいたいの。
悠理の真心はおれに流れ込み、呼応するように、おれの真心が――押し潰されていた感情の芽が次々と芽吹いていった。
それらはたちまち花開き、おれの心を埋め尽くして、嘘に塗れた現実を塗り替えていった。
まさに夢から覚めた気分だ。
何故こんな夢を見ていたのだろう。
いまならはっきりわかる。断言できる。
「おれが好きなのは悠理だ。乃亜じゃない」
「よっしゃあ!!」
幸太が満面の笑みでガッツポーズを決めた。
「ののっちは視聴覚室だ、行ってこい!!」
幸太に思いっきり背中を押されて、おれは全速力で走り出した。
――拓馬のことが好きだった。初めて出会ったときから、ずっと……ずっと好きでした。
悠理はそう言ってくれたのに、おれは酷い言葉を返した。
呼び捨てにするなと怒り、気持ち悪いと詰って、悠理を泣かせた。
さっきも疑って、冷たくして、また傷つけた。
手を強く握る。爪が皮膚を突き破るほど強く。
何故あんなことを言ってしまったのだろう。自己嫌悪で死にたくなる。
謝れば許してくれるだろうか。
あいつはまだ、おれを待っていてくれるだろうか。

