「……どういうことだクソリス」
扉が閉まる音がした途端、有栖先輩は一転して笑顔を消し、射殺せんばかりの目でリスを睨んだ。
「ひいっ! わかりません、わたしにもわからないんです! でも……もしかしたら、その」
「なんだ。言え」
口ごもることを有栖先輩は許さなかった。
「……一回で済んだあなたたちとは違い、黒瀬拓馬に対しては何回も洗脳を繰り返したので、感情が洗脳状態のまま固定されてしまったのかも……」
「悠理ちゃん!」
傾きかけたわたしの身体を、由香ちゃんと幸太くんが支えてくれた。
「……思いつく限りの罵倒を浴びせてやりたいけれど、そんなことしたって無駄だからね。具体的にどうすればいいんだ?」
苛立ちを無理に抑えつけたような声で、有栖先輩が言う。
「拓馬にかかっていた感情制限は野々原さんがバスケットボールをぶつけたことで解除されたんだよね? ならまた身体的な衝撃を与えればいいの?」
「えー、またあいつ殴られるんですか……悪いこともしてないのに」
げんなりした顔で、幸太くんがぼやく。
「それで洗脳が解けなかったら、完全に殴られ損じゃないですか。他に何か方法はないんですか。身体じゃなく、精神的な衝撃を与えるとか」
「精神的な衝撃って、たとえばどんな?」
由香ちゃんが不安そうな顔で尋ねる。
「うーん……」
皆が黙り、どうしたものか考え込んでいると。
「思いついたっ!!」
突然、わたしの左手の上にいた大福が後ろの二本足で立ち、大声を上げた。
「何? 大福くん」
全員の視線が白いハムスターに集中する。
「ちょっと待ってろ!」
慌てたような声で言って、大福は姿を消した。
一分ほどして、彼は床の上、わたしの足元に再び現れた。
ワープと同時に持ってきたらしく、その白い身体の下には一冊の本がある。
表紙に描かれた不思議の国のアリスのイラストを見て、わたしは目を見開いた。
「大福、それ、まさか……!」
「そうだ!」
大福は何故か得意げに胸を張った。
「これぞ秘密兵器! 拓馬への愛を赤裸々に綴った、お前の日記帳だ! これを読めば絶対、拓馬の目が覚める!!」
扉が閉まる音がした途端、有栖先輩は一転して笑顔を消し、射殺せんばかりの目でリスを睨んだ。
「ひいっ! わかりません、わたしにもわからないんです! でも……もしかしたら、その」
「なんだ。言え」
口ごもることを有栖先輩は許さなかった。
「……一回で済んだあなたたちとは違い、黒瀬拓馬に対しては何回も洗脳を繰り返したので、感情が洗脳状態のまま固定されてしまったのかも……」
「悠理ちゃん!」
傾きかけたわたしの身体を、由香ちゃんと幸太くんが支えてくれた。
「……思いつく限りの罵倒を浴びせてやりたいけれど、そんなことしたって無駄だからね。具体的にどうすればいいんだ?」
苛立ちを無理に抑えつけたような声で、有栖先輩が言う。
「拓馬にかかっていた感情制限は野々原さんがバスケットボールをぶつけたことで解除されたんだよね? ならまた身体的な衝撃を与えればいいの?」
「えー、またあいつ殴られるんですか……悪いこともしてないのに」
げんなりした顔で、幸太くんがぼやく。
「それで洗脳が解けなかったら、完全に殴られ損じゃないですか。他に何か方法はないんですか。身体じゃなく、精神的な衝撃を与えるとか」
「精神的な衝撃って、たとえばどんな?」
由香ちゃんが不安そうな顔で尋ねる。
「うーん……」
皆が黙り、どうしたものか考え込んでいると。
「思いついたっ!!」
突然、わたしの左手の上にいた大福が後ろの二本足で立ち、大声を上げた。
「何? 大福くん」
全員の視線が白いハムスターに集中する。
「ちょっと待ってろ!」
慌てたような声で言って、大福は姿を消した。
一分ほどして、彼は床の上、わたしの足元に再び現れた。
ワープと同時に持ってきたらしく、その白い身体の下には一冊の本がある。
表紙に描かれた不思議の国のアリスのイラストを見て、わたしは目を見開いた。
「大福、それ、まさか……!」
「そうだ!」
大福は何故か得意げに胸を張った。
「これぞ秘密兵器! 拓馬への愛を赤裸々に綴った、お前の日記帳だ! これを読めば絶対、拓馬の目が覚める!!」
