「ごめんね、悠理ちゃん。体育の授業の後のこと。わたし、悠理ちゃんが吉住さんたちに責められてるのをただ黙って見てるだけで、何もできなくて。こんなんじゃ友達失格だよね」
放課後の教室で。
髪を紺色のゴムでお下げにした由香ちゃんは、申し訳なさそうにそう言った。
「いやいや、なんで由香ちゃんが謝るの。吉住さんたちの剣幕はわたしでも怖かったもん、何もできなくて当然だよ。あそこで出てきたら、何も悪いことしてない由香ちゃんまで攻撃されてたよ。由香ちゃんの対応は間違ってなんかないよ、謝る必要なんてないない」
わたしは台詞に合わせて二度手を振った。
由香ちゃんは小柄で、ウサギみたいに可憐な子だ。
温和でおとなしい彼女が気の強い吉住さんたちグループに歯向かうなんてできるわけがない。
「本当に気にしないで、ね? わたしのことを心配してくれただけで十分嬉しいよ、ありがとう。だから顔を上げて、お願い」
「……でも、わたし、悔しい。友達が困ってるのに、助けられなかった自分が情けない」
由香ちゃんは俯いたまま、きゅっと唇を噛んだ。
「……もし次に同じようなことがあれば、今度はちゃんと勇気を出すよ。友達の力になれるような、強い自分になってみせる」
一大決心を告げるように、由香ちゃんは大真面目な顔で言った。
「……ありがとう。心強いよ」
由香ちゃんの想いが伝わってきて、胸の中が温かくなる。
「まあでも、次なんてないほうがいいけどね」
わたしはおどけたように笑った。
「うん、確かに。黒瀬くん、痛そうだったし」
「う……」
何気なく発したのであろう由香ちゃんの言葉は、わたしの心臓を抉った。
「あ、ごめん! そういうつもりじゃなくて、あの、ええと」
失言を悟ったらしく、由香ちゃんは青くなっておろおろした。
放課後の教室で。
髪を紺色のゴムでお下げにした由香ちゃんは、申し訳なさそうにそう言った。
「いやいや、なんで由香ちゃんが謝るの。吉住さんたちの剣幕はわたしでも怖かったもん、何もできなくて当然だよ。あそこで出てきたら、何も悪いことしてない由香ちゃんまで攻撃されてたよ。由香ちゃんの対応は間違ってなんかないよ、謝る必要なんてないない」
わたしは台詞に合わせて二度手を振った。
由香ちゃんは小柄で、ウサギみたいに可憐な子だ。
温和でおとなしい彼女が気の強い吉住さんたちグループに歯向かうなんてできるわけがない。
「本当に気にしないで、ね? わたしのことを心配してくれただけで十分嬉しいよ、ありがとう。だから顔を上げて、お願い」
「……でも、わたし、悔しい。友達が困ってるのに、助けられなかった自分が情けない」
由香ちゃんは俯いたまま、きゅっと唇を噛んだ。
「……もし次に同じようなことがあれば、今度はちゃんと勇気を出すよ。友達の力になれるような、強い自分になってみせる」
一大決心を告げるように、由香ちゃんは大真面目な顔で言った。
「……ありがとう。心強いよ」
由香ちゃんの想いが伝わってきて、胸の中が温かくなる。
「まあでも、次なんてないほうがいいけどね」
わたしはおどけたように笑った。
「うん、確かに。黒瀬くん、痛そうだったし」
「う……」
何気なく発したのであろう由香ちゃんの言葉は、わたしの心臓を抉った。
「あ、ごめん! そういうつもりじゃなくて、あの、ええと」
失言を悟ったらしく、由香ちゃんは青くなっておろおろした。
