「ああっ……」
由香ちゃんは感極まったようにふるふる震え、頬を赤く染め、顎の下で腕を組み、潤んだ目で有栖先輩を見つめた。
「さすが……さすがです先輩! たとえ本物のリスじゃないと頭では理解していても、あんなに愛らしいリスを鷲掴みにして壁に叩きつけるなんて、とても普通の人間にはできない! どうしたって良心が邪魔をする! けれど先輩はそれをやるんです! 躊躇なく! 容赦なく! なんて残酷! なんて苛烈! ああっ、それでこそ! それでこそ先輩ですっ……!」
由香ちゃんは頬を押さえて身悶えしている。
「あー……」
色々と突っ込みどころ満載だったけれど、本人が幸せそうなので放っておこう。
その一方。
「なんってことするんですか白石有栖っ!!」
床で痙攣していたリスが跳ね起き、喚き始めた。
「信じられません、あなたどうしてわたしに魅了されないんですか!? わたしを一目見た者は虜になるはずなのに! いいえ、たとえ魅了されなかったとしても、こんなに愛らしいリスを投げるなんて、あなたには動物愛護の精神がないんですかっ!? この鬼畜っ!! 悪魔っ!!」
「うるさい」
ぐしゃっ。
聞いてはいけない音と共に、有栖先輩はリスを顔色一つ変えずに踏みつけ、ぐりぐりと踏みにじった。
「……………………」
誰も何も言わない。とても言えない。
もはや悪魔を超えて魔王と化した有栖先輩を前にして、無力なわたしたちに一体何ができるというのだろう。
魔王を崇拝しているのは由香ちゃんだけで、動物好きの陸先輩など顔を覆っている。見るに堪えないらしい。
「……あのさ、ののっち」
「すみませんごめんなさい」と部屋中にリスの悲鳴が響く中、幸太くんが暗い顔で手招きしてきた。
「何?」
有栖先輩の注意を引かないよう、音を立てずに近づくと、幸太くんは耳打ちしてきた。
「ここって乙女ゲームの世界って聞いたんだけど」
「うん」
こくりと頷く。
由香ちゃんは感極まったようにふるふる震え、頬を赤く染め、顎の下で腕を組み、潤んだ目で有栖先輩を見つめた。
「さすが……さすがです先輩! たとえ本物のリスじゃないと頭では理解していても、あんなに愛らしいリスを鷲掴みにして壁に叩きつけるなんて、とても普通の人間にはできない! どうしたって良心が邪魔をする! けれど先輩はそれをやるんです! 躊躇なく! 容赦なく! なんて残酷! なんて苛烈! ああっ、それでこそ! それでこそ先輩ですっ……!」
由香ちゃんは頬を押さえて身悶えしている。
「あー……」
色々と突っ込みどころ満載だったけれど、本人が幸せそうなので放っておこう。
その一方。
「なんってことするんですか白石有栖っ!!」
床で痙攣していたリスが跳ね起き、喚き始めた。
「信じられません、あなたどうしてわたしに魅了されないんですか!? わたしを一目見た者は虜になるはずなのに! いいえ、たとえ魅了されなかったとしても、こんなに愛らしいリスを投げるなんて、あなたには動物愛護の精神がないんですかっ!? この鬼畜っ!! 悪魔っ!!」
「うるさい」
ぐしゃっ。
聞いてはいけない音と共に、有栖先輩はリスを顔色一つ変えずに踏みつけ、ぐりぐりと踏みにじった。
「……………………」
誰も何も言わない。とても言えない。
もはや悪魔を超えて魔王と化した有栖先輩を前にして、無力なわたしたちに一体何ができるというのだろう。
魔王を崇拝しているのは由香ちゃんだけで、動物好きの陸先輩など顔を覆っている。見るに堪えないらしい。
「……あのさ、ののっち」
「すみませんごめんなさい」と部屋中にリスの悲鳴が響く中、幸太くんが暗い顔で手招きしてきた。
「何?」
有栖先輩の注意を引かないよう、音を立てずに近づくと、幸太くんは耳打ちしてきた。
「ここって乙女ゲームの世界って聞いたんだけど」
「うん」
こくりと頷く。


