周囲の説得は諦め、勇気を出して一色さん本人に直接「四股は酷いと思う」と苦言を呈しても、「拓馬たちが了承してるんだから部外者に口出しされる筋合いはない」とのこと。
悪びれもしない彼女に私は苛立ち、本当にこれでいいのかと悠理ちゃんに問い質そうとした。
でも。
「止めて」
悠理ちゃんは私と目を合わせようともせず、俯いたまま、はっきりとそう言った。
「拓馬のことは言わないで。聞きたくない」
悠理ちゃんは無表情だった。
感情がないわけじゃない、むしろその逆。
あれは、溢れ出そうとする感情を無理やり殺したが故の――泣き出す寸前の無表情だった。
あれから一週間、悠理ちゃんは普段通りに過ごしているように見える。
怒るべきときに怒り、笑うべきときに笑っている。
そして、たまに、魂が抜けたような顔をする。
心だけが遠い遠い場所をさまよっているような。
迷子になった子どものような、途方に暮れたような……見ている私が辛くなるような、切なくて、寂しい顔を。
「…………」
しとしとと降る雨を眺めて、ため息をついたときだった。
「中村由香だな?」
いきなり名前を呼ばれて、私は飛び上がった。
「な、何? 誰?」
見回すと、ずぶ濡れの鼠が窓枠にいた。
「きゃーっ、鼠ぃぃ!!」
「違う! ハムスターだ!!」
後ろの二本足で立って、鼠――もとい、ハムスターは強く抗議してきた。
いや、ハムスターも鼠の一種なんだけどな?
「……は、ハムスター? しゃべっ……?」
一色さんへの怒りでどうかしちゃったのかな。
私、相当疲れてる?
夢でも見てるの?
悪びれもしない彼女に私は苛立ち、本当にこれでいいのかと悠理ちゃんに問い質そうとした。
でも。
「止めて」
悠理ちゃんは私と目を合わせようともせず、俯いたまま、はっきりとそう言った。
「拓馬のことは言わないで。聞きたくない」
悠理ちゃんは無表情だった。
感情がないわけじゃない、むしろその逆。
あれは、溢れ出そうとする感情を無理やり殺したが故の――泣き出す寸前の無表情だった。
あれから一週間、悠理ちゃんは普段通りに過ごしているように見える。
怒るべきときに怒り、笑うべきときに笑っている。
そして、たまに、魂が抜けたような顔をする。
心だけが遠い遠い場所をさまよっているような。
迷子になった子どものような、途方に暮れたような……見ている私が辛くなるような、切なくて、寂しい顔を。
「…………」
しとしとと降る雨を眺めて、ため息をついたときだった。
「中村由香だな?」
いきなり名前を呼ばれて、私は飛び上がった。
「な、何? 誰?」
見回すと、ずぶ濡れの鼠が窓枠にいた。
「きゃーっ、鼠ぃぃ!!」
「違う! ハムスターだ!!」
後ろの二本足で立って、鼠――もとい、ハムスターは強く抗議してきた。
いや、ハムスターも鼠の一種なんだけどな?
「……は、ハムスター? しゃべっ……?」
一色さんへの怒りでどうかしちゃったのかな。
私、相当疲れてる?
夢でも見てるの?
