◆ ◆
午後八時。
雨の音が聞こえたような気がして窓を開けると、本当に雨が降っていた。
まるで誰かが泣いてるような雨だ――そう考えて、ため息が漏れた。
雨、涙、と連想していって、最後に浮かんだのは悠理ちゃん。
涙ぐむ姿なら見たことがあるけれど、実際に泣いた姿を見たことはない。
でも多分、彼女は泣いていると思う。
おかしくなったのは、一週間前、一色さんが転入してきてからだ。
なんと彼女は転入初日で黒瀬くんと付き合い始めた。
悠理ちゃんからそう聞いたときは驚いた――いや、そんな表現では生温い。私は心底驚愕した。
黒瀬くんは悠理ちゃんのことが好きなんだと思っていた。
井田先輩から付きまとわれて怯える私に、黒瀬くんは悠理ちゃんのことを色々話してくれた。
本人は慰めのつもりだったんだろうけれど、あれは完全に惚気としか受け取れず、微笑ましかった。
ストーカー事件が解決した後も、黒瀬くんは悠理ちゃんとよく喋っていた。
一色さんが転入してくる直前まで、二人は楽しそうに笑っていた。
悠理ちゃんは付き合っていないと言い張ったけど、二人が好き合っているのは傍から見ても確実だった。
それなのに黒瀬くんは一色さんと付き合い始め、その翌日から悠理ちゃんを無視するようになった。
百万歩くらい譲って、黒瀬くんが一色さんを好きになり、一色さんへの配慮として悠理ちゃんを無視するようになったことを認めたとしても、だ。
一色さんが黒瀬くんだけじゃなく、緑地くんや赤嶺先輩、挙句の果てには白石先輩とまで同時に交際するようになったことは、全く理解できない。
何より理解しがたいことに、この異常事態を誰もが受け入れている!
四股をかけられている黒瀬くんたち当人はもちろんのこと、一色さんを悪く言う人が誰もいない!
白石先輩の大勢のファンクラブ会員も、黒瀬くんや緑地くんのファンの子も、誰一人!
「一色さんなら許せるよね」と、悠理ちゃんをあれだけ目の敵にしていた吉住さんまで言うのだから、みんなどうかしてしまったとしか思えない。
午後八時。
雨の音が聞こえたような気がして窓を開けると、本当に雨が降っていた。
まるで誰かが泣いてるような雨だ――そう考えて、ため息が漏れた。
雨、涙、と連想していって、最後に浮かんだのは悠理ちゃん。
涙ぐむ姿なら見たことがあるけれど、実際に泣いた姿を見たことはない。
でも多分、彼女は泣いていると思う。
おかしくなったのは、一週間前、一色さんが転入してきてからだ。
なんと彼女は転入初日で黒瀬くんと付き合い始めた。
悠理ちゃんからそう聞いたときは驚いた――いや、そんな表現では生温い。私は心底驚愕した。
黒瀬くんは悠理ちゃんのことが好きなんだと思っていた。
井田先輩から付きまとわれて怯える私に、黒瀬くんは悠理ちゃんのことを色々話してくれた。
本人は慰めのつもりだったんだろうけれど、あれは完全に惚気としか受け取れず、微笑ましかった。
ストーカー事件が解決した後も、黒瀬くんは悠理ちゃんとよく喋っていた。
一色さんが転入してくる直前まで、二人は楽しそうに笑っていた。
悠理ちゃんは付き合っていないと言い張ったけど、二人が好き合っているのは傍から見ても確実だった。
それなのに黒瀬くんは一色さんと付き合い始め、その翌日から悠理ちゃんを無視するようになった。
百万歩くらい譲って、黒瀬くんが一色さんを好きになり、一色さんへの配慮として悠理ちゃんを無視するようになったことを認めたとしても、だ。
一色さんが黒瀬くんだけじゃなく、緑地くんや赤嶺先輩、挙句の果てには白石先輩とまで同時に交際するようになったことは、全く理解できない。
何より理解しがたいことに、この異常事態を誰もが受け入れている!
四股をかけられている黒瀬くんたち当人はもちろんのこと、一色さんを悪く言う人が誰もいない!
白石先輩の大勢のファンクラブ会員も、黒瀬くんや緑地くんのファンの子も、誰一人!
「一色さんなら許せるよね」と、悠理ちゃんをあれだけ目の敵にしていた吉住さんまで言うのだから、みんなどうかしてしまったとしか思えない。
