◆ ◆
悠理がいなくなり、拓馬だけが残る。
拓馬は無表情で突っ立ったまま、ただ黙って悠理が去った方向を見ていた。
彫像のように微動だにしなかった拓馬に、変化が起きた。
拓馬の右目から一滴、涙が零れたのだ。
その涙が頬を滑り、地面に落ちて、やっと拓馬は自分が泣いていることに気づいたようだった。
目にゴミでも入ったかな、そんな顔をして、拓馬は目を擦った。
そして、歩いていく。
拓馬の姿が視界から消え、もう叫んでも届かないと確信したところで――
「いえーいっ! やりましたね乃亜!」
「やったねりっちゃん!」
校舎の陰に隠れていた乃亜と神さまは、場違いなほどに明るい歓声を上げながらハイタッチを交わした。
乃亜の足元にいるオイラは全身が弾け飛びそうなほどの怒りでぶるぶる震えていて、とても何か言える状態ではなかった。
「あいつモブのくせして超ーウザかったけどさすがにもう大丈夫でしょ!」
「ええ! あれだけキツイこと言われてなお懲りずに近づいてきたら、むしろわたしはその鋼の精神を尊敬しますね!」
「ちょっとお、尊敬なんて止めてよ、あいつはただのモブだよ? 尊敬するならヒロインであるこのあたしでしょ?」
乃亜は胸に手を当て、可愛いポーズを取ってみせた。
「もちろん乃亜、あなたこそがヒロインですとも! 拓馬も有栖も陸もみーんな全部、あなたのものです!」
「だよねー? あー良かった、これでやっとあたしが拓馬のヒロインに――」
「何言ってんだお前らああっ!!!」
ついにオイラの怒りは大爆発を起こした。
神さまを肩に乗せた乃亜がこちらを振り返る。
「何よシロ。文句でもあるの?」
「あるに決まってんだろーがっ!!」
地面の土を高速で引っ掻く。
もしオイラが無力なハムスターじゃなく人間の姿だったら、乃亜たちを殴っていたと思う。
悠理がいなくなり、拓馬だけが残る。
拓馬は無表情で突っ立ったまま、ただ黙って悠理が去った方向を見ていた。
彫像のように微動だにしなかった拓馬に、変化が起きた。
拓馬の右目から一滴、涙が零れたのだ。
その涙が頬を滑り、地面に落ちて、やっと拓馬は自分が泣いていることに気づいたようだった。
目にゴミでも入ったかな、そんな顔をして、拓馬は目を擦った。
そして、歩いていく。
拓馬の姿が視界から消え、もう叫んでも届かないと確信したところで――
「いえーいっ! やりましたね乃亜!」
「やったねりっちゃん!」
校舎の陰に隠れていた乃亜と神さまは、場違いなほどに明るい歓声を上げながらハイタッチを交わした。
乃亜の足元にいるオイラは全身が弾け飛びそうなほどの怒りでぶるぶる震えていて、とても何か言える状態ではなかった。
「あいつモブのくせして超ーウザかったけどさすがにもう大丈夫でしょ!」
「ええ! あれだけキツイこと言われてなお懲りずに近づいてきたら、むしろわたしはその鋼の精神を尊敬しますね!」
「ちょっとお、尊敬なんて止めてよ、あいつはただのモブだよ? 尊敬するならヒロインであるこのあたしでしょ?」
乃亜は胸に手を当て、可愛いポーズを取ってみせた。
「もちろん乃亜、あなたこそがヒロインですとも! 拓馬も有栖も陸もみーんな全部、あなたのものです!」
「だよねー? あー良かった、これでやっとあたしが拓馬のヒロインに――」
「何言ってんだお前らああっ!!!」
ついにオイラの怒りは大爆発を起こした。
神さまを肩に乗せた乃亜がこちらを振り返る。
「何よシロ。文句でもあるの?」
「あるに決まってんだろーがっ!!」
地面の土を高速で引っ掻く。
もしオイラが無力なハムスターじゃなく人間の姿だったら、乃亜たちを殴っていたと思う。

