「拓馬? どうしたの?」
心配になって身体の向きを変え、その顔を覗き込む。
すると、拓馬はわたしの手首を掴んでいた手を離し、鋭い目でわたしを睨んだ。
「勝手なことばかり言って去ろうとするなよ。てかさ、拓馬って呼ぶのいい加減止めてくれない? 馴れ馴れしいとは思わねえの? 乃亜に誤解されたらどう責任取ってくれるわけ?」
「ご、ごめん……そうだよね。これからは黒瀬くんって呼ぶね」
「ああ。おれもお前の連絡先は消しとくから。おれだけじゃなくて乃亜にも近づかないでくれる? おれが好きな料理のレシピ渡したんだってな?」
「う、うん……」
これほど怒っている拓馬を見るのは初めてで、わたしは怯えた。
「余計なことするなよ。気持ち悪い」
心底不愉快そうに、拓馬は吐き捨てた。
「あのファイル見て乃亜は泣いたんだぞ。これはわたしへの当てつけだ、こんなに愛してるんだからとっとと身を引けっていう遠回しな脅迫だ、怖いって」
「!? そんなこと!」
「もうお前がファイルを作った理由とかはどうでもいいから」
拓馬はわたしの抗弁を遮って、冷たく告げた。
「とにかく二度とおれらに付きまとわないで」
「つきまと……」
絶句する。
付きまとうというほどの行為をした覚えはない。
それなのに、拓馬の中でわたしは由香ちゃんをストーカーした井田先輩と同じなのだろうか。
惚れた相手を苦しませる、最低な女だと?
拓馬の視線は、かつて見たことがないほどに冷たい。
その冷たさに、とうとう耐え切れず、心が折れた。
「……わかった。ごめん。もう二度と付きまとったりしない」
涙が溢れて止まらない。
楽しかった思い出が反転し、その全てが刃となってわたしの心をずたずたに引き裂いていく。
「……さよなら」
わたしは涙を拭うこともせず、拓馬に背を向けた。
心配になって身体の向きを変え、その顔を覗き込む。
すると、拓馬はわたしの手首を掴んでいた手を離し、鋭い目でわたしを睨んだ。
「勝手なことばかり言って去ろうとするなよ。てかさ、拓馬って呼ぶのいい加減止めてくれない? 馴れ馴れしいとは思わねえの? 乃亜に誤解されたらどう責任取ってくれるわけ?」
「ご、ごめん……そうだよね。これからは黒瀬くんって呼ぶね」
「ああ。おれもお前の連絡先は消しとくから。おれだけじゃなくて乃亜にも近づかないでくれる? おれが好きな料理のレシピ渡したんだってな?」
「う、うん……」
これほど怒っている拓馬を見るのは初めてで、わたしは怯えた。
「余計なことするなよ。気持ち悪い」
心底不愉快そうに、拓馬は吐き捨てた。
「あのファイル見て乃亜は泣いたんだぞ。これはわたしへの当てつけだ、こんなに愛してるんだからとっとと身を引けっていう遠回しな脅迫だ、怖いって」
「!? そんなこと!」
「もうお前がファイルを作った理由とかはどうでもいいから」
拓馬はわたしの抗弁を遮って、冷たく告げた。
「とにかく二度とおれらに付きまとわないで」
「つきまと……」
絶句する。
付きまとうというほどの行為をした覚えはない。
それなのに、拓馬の中でわたしは由香ちゃんをストーカーした井田先輩と同じなのだろうか。
惚れた相手を苦しませる、最低な女だと?
拓馬の視線は、かつて見たことがないほどに冷たい。
その冷たさに、とうとう耐え切れず、心が折れた。
「……わかった。ごめん。もう二度と付きまとったりしない」
涙が溢れて止まらない。
楽しかった思い出が反転し、その全てが刃となってわたしの心をずたずたに引き裂いていく。
「……さよなら」
わたしは涙を拭うこともせず、拓馬に背を向けた。

