翌日の昼休み。
わたしは乃亜を廊下に呼び出し、持っていた水色のファイルを差し出した。
「これ、わたしがこれまで拓馬に作ってきた料理のうち、特に拓馬が喜んだもののレシピなの。思いつく限りまとめたから、良かったら使ってもらえないかな」
「……これ全部?」
乃亜は戸惑ったような表情でファイルを受け取り、開いた。
ルーズリーフには料理の名前とレシピが細かく記載されている。
重要だと思うところは色を変え、ラインを引いたり、色鉛筆で絵を描いたりした力作だ。
「あの、拓馬は椎茸とゴーヤが嫌いだから。食材に使うなら極力味がわからないように、細かく刻んであげてね。レバーも好きじゃないけど、味を濃くしたら大丈夫。あと梅とか、レモンとか、酸っぱい物が好きなの。卵を使った料理も外れがないみたいで、オムライスは大好物だよ。卵スープも好きだし、茶碗蒸しも好き」
乃亜は無言でルーズリーフをめくっている。
「お弁当に入れる卵焼きは甘いほうがいいみたい。から揚げやグラタンも好きだし、肉は鶏でも豚でも牛でも、何でも好き。あ、魚は煮ても焼いても、どう料理しても喜ぶよ。特にお勧めなのはカルパッチョ。前にわたしが作ったレシピは書いておいたから、参考になれば嬉しい」
ぱたん、と乃亜がファイルを閉じる。
その音に「黙れ」と言われたような気がして、わたしは口をつぐんだ。
「野々原さんって、凄いね。拓馬のこと、よく知ってるんだね」
乃亜はファイルを胸に抱え、愛想良く微笑んだ。
「これだけまとめるの大変だったでしょう。ありがとう。是非参考にさせてもらうね」
「うん。良かった、喜んでくれて。おしつけがましいかな、余計なお世話かなって思ってたから……」
視線を床に落として頬を掻く。
「あ、あとね。一色さん。お願いがあるんだけど」
「何?」
「拓馬に告白させてもらえないかな」
「…………え?」
乃亜の表情が固まる。
「ごめん」
わかりきっていた反応に、わたしは頭を下げた。
わたしは乃亜を廊下に呼び出し、持っていた水色のファイルを差し出した。
「これ、わたしがこれまで拓馬に作ってきた料理のうち、特に拓馬が喜んだもののレシピなの。思いつく限りまとめたから、良かったら使ってもらえないかな」
「……これ全部?」
乃亜は戸惑ったような表情でファイルを受け取り、開いた。
ルーズリーフには料理の名前とレシピが細かく記載されている。
重要だと思うところは色を変え、ラインを引いたり、色鉛筆で絵を描いたりした力作だ。
「あの、拓馬は椎茸とゴーヤが嫌いだから。食材に使うなら極力味がわからないように、細かく刻んであげてね。レバーも好きじゃないけど、味を濃くしたら大丈夫。あと梅とか、レモンとか、酸っぱい物が好きなの。卵を使った料理も外れがないみたいで、オムライスは大好物だよ。卵スープも好きだし、茶碗蒸しも好き」
乃亜は無言でルーズリーフをめくっている。
「お弁当に入れる卵焼きは甘いほうがいいみたい。から揚げやグラタンも好きだし、肉は鶏でも豚でも牛でも、何でも好き。あ、魚は煮ても焼いても、どう料理しても喜ぶよ。特にお勧めなのはカルパッチョ。前にわたしが作ったレシピは書いておいたから、参考になれば嬉しい」
ぱたん、と乃亜がファイルを閉じる。
その音に「黙れ」と言われたような気がして、わたしは口をつぐんだ。
「野々原さんって、凄いね。拓馬のこと、よく知ってるんだね」
乃亜はファイルを胸に抱え、愛想良く微笑んだ。
「これだけまとめるの大変だったでしょう。ありがとう。是非参考にさせてもらうね」
「うん。良かった、喜んでくれて。おしつけがましいかな、余計なお世話かなって思ってたから……」
視線を床に落として頬を掻く。
「あ、あとね。一色さん。お願いがあるんだけど」
「何?」
「拓馬に告白させてもらえないかな」
「…………え?」
乃亜の表情が固まる。
「ごめん」
わかりきっていた反応に、わたしは頭を下げた。
