「悠理」
名前を呼ばれて、わたしは振り返った。
暗くなった通りには、拓馬と……乃亜が立っていた。
並んで立っている二人を見て、ズキン、と心臓が痛む。
「どうしたの?」
それでもわたしは、努めて笑顔を作った。
「ちょうど良かった。お前に話が合ったんだ。もうこれからは弁当作ってくれなくていいから」
「…………え?」
わたしは呆けて拓馬を見つめた。
手から力が抜け、どさりと鞄が落ちる。
拓馬はわたしの足元で倒れた鞄に目を走らせ、それでも続けた。
「実はおれ、乃亜と付き合うことになって」
頭を思い切り殴られたような衝撃。
視界がぐらりと揺れ、立っているだけで精いっぱいだ。
「乃亜が料理得意で、自分の分のついでに作ってくれるって言うんだ。いつまでもお前に甘えるのも悪いし、これからは乃亜に作ってもらうよ」
拓馬が乃亜のほうを見ると、乃亜はにこっと笑った。
「拓馬から聞いたよ。これまで拓馬のご飯を作ってくれてありがとう。でも、もういいから。これからはわたしがいるもの。ね、拓馬。行こう?」
乃亜が笑顔で拓馬の腕を掴み、上目遣いに見つめる。
「ああ。じゃあ、そういうことで。いままでありがとうな」
微笑んで、拓馬は乃亜と共に歩いていく。
二人の声がする。楽しそうに笑う声が。
耳から入って、頭の中で乱反射して――吐きそうだ。
わたしは震える手で鞄を拾い上げ、ふらふらと歩き出した。
名前を呼ばれて、わたしは振り返った。
暗くなった通りには、拓馬と……乃亜が立っていた。
並んで立っている二人を見て、ズキン、と心臓が痛む。
「どうしたの?」
それでもわたしは、努めて笑顔を作った。
「ちょうど良かった。お前に話が合ったんだ。もうこれからは弁当作ってくれなくていいから」
「…………え?」
わたしは呆けて拓馬を見つめた。
手から力が抜け、どさりと鞄が落ちる。
拓馬はわたしの足元で倒れた鞄に目を走らせ、それでも続けた。
「実はおれ、乃亜と付き合うことになって」
頭を思い切り殴られたような衝撃。
視界がぐらりと揺れ、立っているだけで精いっぱいだ。
「乃亜が料理得意で、自分の分のついでに作ってくれるって言うんだ。いつまでもお前に甘えるのも悪いし、これからは乃亜に作ってもらうよ」
拓馬が乃亜のほうを見ると、乃亜はにこっと笑った。
「拓馬から聞いたよ。これまで拓馬のご飯を作ってくれてありがとう。でも、もういいから。これからはわたしがいるもの。ね、拓馬。行こう?」
乃亜が笑顔で拓馬の腕を掴み、上目遣いに見つめる。
「ああ。じゃあ、そういうことで。いままでありがとうな」
微笑んで、拓馬は乃亜と共に歩いていく。
二人の声がする。楽しそうに笑う声が。
耳から入って、頭の中で乱反射して――吐きそうだ。
わたしは震える手で鞄を拾い上げ、ふらふらと歩き出した。

