「ただいまー」
帰宅して、自分の部屋の扉を開くと、
「お帰りー」
大福がわたしの足元――部屋の中央に出現した。
後ろの二本足で立ち、つぶらな瞳で見上げてくる大福は今日も変わらず可愛い。
大福の住居は部屋の隅に置いたプラスチックの衣装ケースの中だけど、彼はどんな場所にでも自由にワープすることができるので、気が向いたときはこんなふうに出迎えてくれる。
なんでハムスターがワープ能力を持ってるんだ? ってツッコミは、いまさらだ。
そもそもハムスターが喋る時点でおかしいし、大福はハムスターが絶対食べちゃダメなチョコレートでも何でも食べちゃうしね。
「学校は楽しかったか? 今朝はいつもより張り切って拓馬の弁当を作ってたようだが、反応はどうだった?」
「うん、楽しかったし、拓馬も喜んでくれたよ。顔の腫れも二、三日で引きそうって」
「それは良かった。乃亜が現れるまで拓馬はベストコンディションでいてくれなくては困るからな」
「……わたしって、やっぱりどうやっても乃亜が現れるまでの繋ぎにしかなれないの? 拓馬の彼女にはなれない?」
「最初から言ってるだろう。モブはヒロインには勝てない。それが運命だと」
「納得できない」
わたしは『神』と額に書かれた大福を見つめて言った。
「そうか。ならせいぜい足掻いてみればいい。悠理が何をしようと、オイラは不干渉を貫くと約束しよう。乃亜が現れるまで、好きに過ごせばいい」
「……大福はわたしの味方になってくれないんだよね」
突き放すような言い方が悲しくて、つい愚痴のように零してしまった。
「不可能だ。言っただろう、オイラは神の使い、運命の守り手だと。オイラが守るべきはモブじゃなく、ヒロインと拓馬の未来だ。それが神の意思だ。逆らうなんてとんでもない」
「……そっか。そうだよね。変なこと言ってごめん」
わたしは項垂れた。
「やっぱりオイラ、出て行こうか」
「え」
思わぬ声に顔を上げると、大福が二本足で立っていた。
「お前にとってオイラは敵でしかない。オイラがいると不愉快だろう」
「そんなことないよ!」
わたしは慌てて床に膝をつき、大福を見下ろした。
帰宅して、自分の部屋の扉を開くと、
「お帰りー」
大福がわたしの足元――部屋の中央に出現した。
後ろの二本足で立ち、つぶらな瞳で見上げてくる大福は今日も変わらず可愛い。
大福の住居は部屋の隅に置いたプラスチックの衣装ケースの中だけど、彼はどんな場所にでも自由にワープすることができるので、気が向いたときはこんなふうに出迎えてくれる。
なんでハムスターがワープ能力を持ってるんだ? ってツッコミは、いまさらだ。
そもそもハムスターが喋る時点でおかしいし、大福はハムスターが絶対食べちゃダメなチョコレートでも何でも食べちゃうしね。
「学校は楽しかったか? 今朝はいつもより張り切って拓馬の弁当を作ってたようだが、反応はどうだった?」
「うん、楽しかったし、拓馬も喜んでくれたよ。顔の腫れも二、三日で引きそうって」
「それは良かった。乃亜が現れるまで拓馬はベストコンディションでいてくれなくては困るからな」
「……わたしって、やっぱりどうやっても乃亜が現れるまでの繋ぎにしかなれないの? 拓馬の彼女にはなれない?」
「最初から言ってるだろう。モブはヒロインには勝てない。それが運命だと」
「納得できない」
わたしは『神』と額に書かれた大福を見つめて言った。
「そうか。ならせいぜい足掻いてみればいい。悠理が何をしようと、オイラは不干渉を貫くと約束しよう。乃亜が現れるまで、好きに過ごせばいい」
「……大福はわたしの味方になってくれないんだよね」
突き放すような言い方が悲しくて、つい愚痴のように零してしまった。
「不可能だ。言っただろう、オイラは神の使い、運命の守り手だと。オイラが守るべきはモブじゃなく、ヒロインと拓馬の未来だ。それが神の意思だ。逆らうなんてとんでもない」
「……そっか。そうだよね。変なこと言ってごめん」
わたしは項垂れた。
「やっぱりオイラ、出て行こうか」
「え」
思わぬ声に顔を上げると、大福が二本足で立っていた。
「お前にとってオイラは敵でしかない。オイラがいると不愉快だろう」
「そんなことないよ!」
わたしは慌てて床に膝をつき、大福を見下ろした。

