「本当に申し訳ございませんでしたっ!! ボクが間違ってました!! 二度と中村さんには近づかないと約束します!!」
井田先輩は恥も外聞もかなぐり捨て、コンクリートの床に額をくっつけんばかりの勢いで頭を下げた。
「……許します。その代わり、本当にもう近づかないでください」
これまでの苦悩の日々を思い返したのか、由香ちゃんはいったんきつく目を閉じてから、目を開けて頷いた。
「誓うとも」
井田先輩は大きく頷き、今度は拓馬に身体を向けた。
「黒瀬くん、殴って本当に悪かった!!」
頭を下げられた拓馬は数秒黙った後、ふっと肩を落として息を吐いた。
「……殴り返して同類になるのも嫌ですし、もういいです。解決したならそれで」
「……巻き込んでごめんね、黒瀬くん」
「いいって。こうなるってわかってて挑発したのはおれだし、中村さんが気に病むことはないよ」
申し訳なさそうな由香ちゃんに、拓馬は微笑んだ。
「……これでいいんだよ、な?」
井田先輩が立ち上がり、上目遣いに顔色を窺いながら、有栖先輩に歩み寄る。
「うん。それじゃ消すよ。はい」
わたしからは見えないけれど、井田先輩は動画が消えるのを見届けようだ。
彼はあからさまにほっとした後、鬼の形相に変わった。
「白石。よくもボクをコケに――」
「勘違いしないでね。ぼくはバックアップがないとは一言も言ってないよ?」
掴みかからんばかりの怒気を放っていた井田先輩は、被せるような有栖先輩の一言に震えた。
「……本当に?」
井田先輩の頰に新しい汗が生まれる。
「さあ。嘘かな? 本当かな? ぼくが何と答えようと意味はないよね。だって君は信じられないもの。信じられる根拠が何一つないんだもの。君は永遠にぼくを疑い、ぼくの気まぐれに怯え続けることになるんだ。残念だな。君が改心したならこの件は水に流そうと思ってたのに」
敵意が膨れ上がった。
有栖先輩の視線が刃物の鋭さを帯びる。
「井田正輝。君はぼくを敵に回す覚悟があるんだね?」
聞く者の心臓を鷲掴みにする声だった。
射殺すような目で見据えられ、井田先輩が声も出せずに後ずさる。
その顔色は青く、頰は引き攣り、足は震えていた。
井田先輩は恥も外聞もかなぐり捨て、コンクリートの床に額をくっつけんばかりの勢いで頭を下げた。
「……許します。その代わり、本当にもう近づかないでください」
これまでの苦悩の日々を思い返したのか、由香ちゃんはいったんきつく目を閉じてから、目を開けて頷いた。
「誓うとも」
井田先輩は大きく頷き、今度は拓馬に身体を向けた。
「黒瀬くん、殴って本当に悪かった!!」
頭を下げられた拓馬は数秒黙った後、ふっと肩を落として息を吐いた。
「……殴り返して同類になるのも嫌ですし、もういいです。解決したならそれで」
「……巻き込んでごめんね、黒瀬くん」
「いいって。こうなるってわかってて挑発したのはおれだし、中村さんが気に病むことはないよ」
申し訳なさそうな由香ちゃんに、拓馬は微笑んだ。
「……これでいいんだよ、な?」
井田先輩が立ち上がり、上目遣いに顔色を窺いながら、有栖先輩に歩み寄る。
「うん。それじゃ消すよ。はい」
わたしからは見えないけれど、井田先輩は動画が消えるのを見届けようだ。
彼はあからさまにほっとした後、鬼の形相に変わった。
「白石。よくもボクをコケに――」
「勘違いしないでね。ぼくはバックアップがないとは一言も言ってないよ?」
掴みかからんばかりの怒気を放っていた井田先輩は、被せるような有栖先輩の一言に震えた。
「……本当に?」
井田先輩の頰に新しい汗が生まれる。
「さあ。嘘かな? 本当かな? ぼくが何と答えようと意味はないよね。だって君は信じられないもの。信じられる根拠が何一つないんだもの。君は永遠にぼくを疑い、ぼくの気まぐれに怯え続けることになるんだ。残念だな。君が改心したならこの件は水に流そうと思ってたのに」
敵意が膨れ上がった。
有栖先輩の視線が刃物の鋭さを帯びる。
「井田正輝。君はぼくを敵に回す覚悟があるんだね?」
聞く者の心臓を鷲掴みにする声だった。
射殺すような目で見据えられ、井田先輩が声も出せずに後ずさる。
その顔色は青く、頰は引き攣り、足は震えていた。


