放課後。
わたしたち四人は屋上に続く扉の前にいた。
今日は一年も二年も同じ授業数で終わる水曜日。
わたしのクラスのホームルームが長めだったから、井田先輩は既に待っているはず。
屋上への呼び出しは昼休憩時に済ませている。
「わたしと幸太くんはここで見守ってるから。何かあったらすぐ助けに行くからね」
「うん。心強いよ、ありがとう」
由香ちゃんは笑ったけれど、その両手は震えていた。
「……拓馬さあ」
「もう決めたんだから何も言うな」
幸太くんが何か言いかけたのを、拓馬は一瞥もせずに封じた。
「?」
いまのやり取りはどういう意味だと問いただす前に、
「行こう、由香」
拓馬が笑顔で由香ちゃんに手を差し伸べた。
登場時から恋人になりきるつもりらしい。
「う、うん……拓馬?」
名前で呼んでいいのかなあ、という顔で由香ちゃんがわたしを見る。
わたしが頷くと、由香ちゃんは拓馬の手を取り、二人は扉を開けて屋上へ踏み出した。
疑問を飲み込んで、わたしは開け放たれたままの扉の陰に幸太くんと隠れ、様子を窺った。
「中村さ……」
向かって左手。
給水塔から二メートルほどの場所に立ち、嬉しそうな声を発したのは、小太りで丸顔の男子だった。
「……誰だ? 貴様。何でボクの中村さんと手を繋いでいる」
井田先輩は拓馬を見るなり表情を一変させ、鼻息荒く詰め寄った。
「初めまして、井田先輩。由香と同じクラスの黒瀬といいます。お会いできて光栄です」
拓馬は慇懃無礼に頭を下げる。
「由香からあなたの話を聞いて、これ以上彼女に付きまとうのを止めて欲しいとお願いしに来ました。はっきり言って迷惑です。ご覧の通り、由香はおれの彼女なので。今後『ボクの中村さん』なんて言葉はたとえ寝てても言わないでくださいね」
拓馬は繋いでいた手を離し、由香ちゃんの肩を引き寄せ、爽やかに笑った。
わたしたち四人は屋上に続く扉の前にいた。
今日は一年も二年も同じ授業数で終わる水曜日。
わたしのクラスのホームルームが長めだったから、井田先輩は既に待っているはず。
屋上への呼び出しは昼休憩時に済ませている。
「わたしと幸太くんはここで見守ってるから。何かあったらすぐ助けに行くからね」
「うん。心強いよ、ありがとう」
由香ちゃんは笑ったけれど、その両手は震えていた。
「……拓馬さあ」
「もう決めたんだから何も言うな」
幸太くんが何か言いかけたのを、拓馬は一瞥もせずに封じた。
「?」
いまのやり取りはどういう意味だと問いただす前に、
「行こう、由香」
拓馬が笑顔で由香ちゃんに手を差し伸べた。
登場時から恋人になりきるつもりらしい。
「う、うん……拓馬?」
名前で呼んでいいのかなあ、という顔で由香ちゃんがわたしを見る。
わたしが頷くと、由香ちゃんは拓馬の手を取り、二人は扉を開けて屋上へ踏み出した。
疑問を飲み込んで、わたしは開け放たれたままの扉の陰に幸太くんと隠れ、様子を窺った。
「中村さ……」
向かって左手。
給水塔から二メートルほどの場所に立ち、嬉しそうな声を発したのは、小太りで丸顔の男子だった。
「……誰だ? 貴様。何でボクの中村さんと手を繋いでいる」
井田先輩は拓馬を見るなり表情を一変させ、鼻息荒く詰め寄った。
「初めまして、井田先輩。由香と同じクラスの黒瀬といいます。お会いできて光栄です」
拓馬は慇懃無礼に頭を下げる。
「由香からあなたの話を聞いて、これ以上彼女に付きまとうのを止めて欲しいとお願いしに来ました。はっきり言って迷惑です。ご覧の通り、由香はおれの彼女なので。今後『ボクの中村さん』なんて言葉はたとえ寝てても言わないでくださいね」
拓馬は繋いでいた手を離し、由香ちゃんの肩を引き寄せ、爽やかに笑った。

