乙女ゲームの世界に転生しちゃったんですけど~ヒロインは恋のライバルです!?~

 期末テストが終わり、夏休みまであと一週間を切った。
 テストの結果は上々で、両親に褒められ、臨時のお小遣いまでゲットできた。
 全ては有栖先輩たちのおかげだ。
 入学時から常に学年トップの有栖先輩はテストの一週間前に『もうすぐテストだけど勉強会開いて欲しい人いる?』とラインで呼びかけてきた。
 その呼びかけに対して一年の皆が応じた結果、先輩のマンションでは放課後連日勉強会が開かれることになった。
 しかも豪華なお菓子や夕食つき。
 高級マンションの15階から見る夜景は綺麗だった。
 勉強が終わった後のゲーム大会も――ちなみにゲーム機器を持ってきたのは幸太くん――とても楽しかった。
 モブとはいえ、わたし、この世界に転生できて良かった。
 だって日記帳の一ページじゃ書き切れないくらい、毎日が充実してるもの。
 七月の青空の下、涼しげな夏服の生徒たちに混じって朝の通学路を歩く。
 昇降口に入ると、靴箱の前で立ち尽くしている由香ちゃんを見つけた。
 なんだか様子が変だ。
 怯えたような、不安そうな目で自分の靴箱を見ている。
 由香ちゃんは最近元気がない。
 会話していても、沈黙した拍子にふと重いため息をついたり、物憂げな表情を見せる。
 悩み事があるなら聞くよと言ったけれど、大丈夫とやんわり断られてしまったし。
 もどかしい。
 何かあるなら力になりたいのに。
 由香ちゃんとは、そういう友達になりたいのに。