乙女ゲームの世界に転生しちゃったんですけど~ヒロインは恋のライバルです!?~

「いまのお前にそこまでする価値はない。お前と拓馬の間に結ばれた縁は乃亜に比べてずっと薄い。しょせんお前は乃亜が現れるまでの繋ぎ。この先どんなに頑張っても拓馬の恋人にはなれないよ。ほんのわずかにでも期待してるなら諦めたほうがいい」
 その言葉は、まるで不吉な予言のようだった。
「……。わかってるよ」
 拗ねたような言い方になってしまった。
「でもさ」
 咳払いして、仕切り直す。
「乃亜の運命の相手って、拓馬で確定なの? 他にも可能性がある人がいるんじゃないの?」
 攻略対象キャラは拓馬だけじゃなく、他にも四人いるはずだ。
 一年後輩の青海《あおみ》くんは、現在どこにいるかも不明だけど。
「そうだな。乃亜の運命の相手は五人いる。でも、誰と結ばれるかは乃亜次第だ」
 乃亜は五人の美男子から気の向くままに運命の相手を選べるというわけだ。
 改めて考えると、乙女ゲームのシステムって贅沢すぎるな。
「じゃあ拓馬は乃亜が運命の相手だと確定してるわけでもないのに、乃亜の『もし』のために恋人の座を開けておかなきゃいけないってことなのね……」
 わたしは顎に手を当てて呟き、ふと顔を上げた。
「あ、じゃあさ。わたしの運命の相手もどこかにいたりするの?」
 それはとっても気になることだ。
「いや、お前はイレギュラーなモブだからいない」
 断言された。