白石先輩のマンションからの帰り道。
いまにも雨が降り出しそうな曇天の下で、わたしは近所の小さな神社に立ち寄っていた。
財布から五円玉を取り出して賽銭箱の中に入れ、手を合わせて目を閉じる。
「拓馬たちとの縁がこれからもずっと続きますように」
周囲に誰もいないのをいいことに、わたしは声に出して神さまに語り掛け、祈った。
これはただの独り言、当然返事などあるわけがないと思っていたのに――
「いやいや、たとえ縁が続いたとしても、黒瀬拓馬がお前を好きになることなんてないからな? だってお前、しょせんモブだもん」
「…………は?」
わたしは唖然として謎の声の主を探した。
「はあ、全く、なんてことしてくれたんだよ。偶然とはいえ、力技で黒瀬拓馬の感情制限を外すとは思わなかったわ」
見回すまでもなく、声の主はすぐ目の前にいた。
いつの間にか賽銭箱の上に、一匹のハムスターが乗っている。
前世のわたしが飼っていた白いジャンガリアンハムスター『きな子』そっくりだった。
10センチ程度の小さな身体。
くりっとしたつぶらな黒瞳。
けれど何より注目すべきは、その額に書いてある『神』という文字だろう。
お世辞にも上手な字ではない。
子どもに油性マジックで悪戯されたのだろうか。
「きな子っ!?」
「違う。オイラは神だ」
ハムスターは後ろ足で立ち、偉そうに言った。
「………………」
神と名乗るハムスターとの遭遇に、わたしは頬をつねった。
今度こそ夢オチだと思ったのに、やっぱり痛い。
『カラフルラバーズ』に喋る動物なんて出てこないはずなのに、一体どうなってるんだ……。
呆然としているわたしの気持ちなんてお構いなしに、ハムスターは喋り続けた。
「正確には神の使い。神が紡いだ運命の守り手、因果律の調整者だ」
「はあ?」
得意げにハムスターは顎を逸らしているけれど、全然わからない。
いまにも雨が降り出しそうな曇天の下で、わたしは近所の小さな神社に立ち寄っていた。
財布から五円玉を取り出して賽銭箱の中に入れ、手を合わせて目を閉じる。
「拓馬たちとの縁がこれからもずっと続きますように」
周囲に誰もいないのをいいことに、わたしは声に出して神さまに語り掛け、祈った。
これはただの独り言、当然返事などあるわけがないと思っていたのに――
「いやいや、たとえ縁が続いたとしても、黒瀬拓馬がお前を好きになることなんてないからな? だってお前、しょせんモブだもん」
「…………は?」
わたしは唖然として謎の声の主を探した。
「はあ、全く、なんてことしてくれたんだよ。偶然とはいえ、力技で黒瀬拓馬の感情制限を外すとは思わなかったわ」
見回すまでもなく、声の主はすぐ目の前にいた。
いつの間にか賽銭箱の上に、一匹のハムスターが乗っている。
前世のわたしが飼っていた白いジャンガリアンハムスター『きな子』そっくりだった。
10センチ程度の小さな身体。
くりっとしたつぶらな黒瞳。
けれど何より注目すべきは、その額に書いてある『神』という文字だろう。
お世辞にも上手な字ではない。
子どもに油性マジックで悪戯されたのだろうか。
「きな子っ!?」
「違う。オイラは神だ」
ハムスターは後ろ足で立ち、偉そうに言った。
「………………」
神と名乗るハムスターとの遭遇に、わたしは頬をつねった。
今度こそ夢オチだと思ったのに、やっぱり痛い。
『カラフルラバーズ』に喋る動物なんて出てこないはずなのに、一体どうなってるんだ……。
呆然としているわたしの気持ちなんてお構いなしに、ハムスターは喋り続けた。
「正確には神の使い。神が紡いだ運命の守り手、因果律の調整者だ」
「はあ?」
得意げにハムスターは顎を逸らしているけれど、全然わからない。
