「それは名案だね」
白石先輩はにっこり笑った。
「名案って」
拓馬が不満げな顔を向けたけれど、白石先輩は笑顔を崩さなかった。
「名案だよ。拓馬は手に触れた食材を一瞬で劣化、あるいは腐敗させる非常に稀有な才能の持ち主だ。食べられないゴミしか作れない自覚があるから料理しないんでしょう? でも、この先ずっとコンビニ弁当やスーパーの総菜でごまかし続けるのにも限界がある。栄養も偏るし、身体に良くない。拓馬だっていい加減似たようなローテーションの繰り返しで飽きてきたんじゃないの?」
拓馬は答えない。
白石先輩は黙っている拓馬から、わたしへと視線を移した。
「というわけで、拓馬のことよろしくね、野々原さん。あ、ちゃんと費用は拓馬に請求してね。何事もギブアンドテイクだ。一方的に与えてばかりの関係は絶対に破綻する。長く拓馬の世話を焼きたいと思うならなおさら、お金のことはうやむやにしないこと」
「はい。食費をどうするかはこれから二人で決めていきます」
「うん」
「……おい。決定事項なのかよ」
拓馬が眉をひそめて、わたしを軽く睨む。
「そのつもりだけど。やっぱり嫌? あ、もしかして、お菓子は良くても、本格的な手料理となると身体が受け付けない……かな?」
拓馬のために、良かれと思っての提案だったけれど、独りよがりだったかもしれない。
不安になって、わたしは膝の上で手を揉んだ。
「そういうわけじゃねえ……いや、試してみないことにはわからねえけど。多分大丈夫だと思う。けどさ。おれの分まで作るのは面倒だろ」
「そんなことないよ。そりゃここにいる全員分となると大変だけど、二人分なら余裕だよ」
「……本当にそうか?」
拓馬が最終確認のように、真顔で尋ねてきた。
白石先輩はにっこり笑った。
「名案って」
拓馬が不満げな顔を向けたけれど、白石先輩は笑顔を崩さなかった。
「名案だよ。拓馬は手に触れた食材を一瞬で劣化、あるいは腐敗させる非常に稀有な才能の持ち主だ。食べられないゴミしか作れない自覚があるから料理しないんでしょう? でも、この先ずっとコンビニ弁当やスーパーの総菜でごまかし続けるのにも限界がある。栄養も偏るし、身体に良くない。拓馬だっていい加減似たようなローテーションの繰り返しで飽きてきたんじゃないの?」
拓馬は答えない。
白石先輩は黙っている拓馬から、わたしへと視線を移した。
「というわけで、拓馬のことよろしくね、野々原さん。あ、ちゃんと費用は拓馬に請求してね。何事もギブアンドテイクだ。一方的に与えてばかりの関係は絶対に破綻する。長く拓馬の世話を焼きたいと思うならなおさら、お金のことはうやむやにしないこと」
「はい。食費をどうするかはこれから二人で決めていきます」
「うん」
「……おい。決定事項なのかよ」
拓馬が眉をひそめて、わたしを軽く睨む。
「そのつもりだけど。やっぱり嫌? あ、もしかして、お菓子は良くても、本格的な手料理となると身体が受け付けない……かな?」
拓馬のために、良かれと思っての提案だったけれど、独りよがりだったかもしれない。
不安になって、わたしは膝の上で手を揉んだ。
「そういうわけじゃねえ……いや、試してみないことにはわからねえけど。多分大丈夫だと思う。けどさ。おれの分まで作るのは面倒だろ」
「そんなことないよ。そりゃここにいる全員分となると大変だけど、二人分なら余裕だよ」
「……本当にそうか?」
拓馬が最終確認のように、真顔で尋ねてきた。
