体育祭が終わった翌日。
雨が降りそうな日曜日の午後二時過ぎ。
わたしは高級マンションの15階にある一室で、四人のイケメンたちに持参したクッキーを振る舞っていた。
実はわたし、料理が趣味なの。
だから、手土産にクッキーを焼いてきました。
「うん、美味しい。甘すぎず苦すぎず、ベストな味だね」
この部屋の主人である白石先輩は上品に微笑んだ。
その右隣では赤嶺先輩が美味しいのか不味いのか判断しづらい無表情でクッキーを頬張り、左隣では緑地くんが同じようにクッキーを頬張っていた。
わたしは拓馬と一緒に、白石先輩たちの対面のソファに座っていた。
上質なレザーのソファは快適な座り心地だけれど、一体いくらするんだろうという庶民根性が頭をもたげ、なんだか落ち着かない。
部屋は広く、掃除が行き届いていて、花瓶には鮮やかな青いデルフィニウムまで飾ってある。
まるでモデルルームのようだ。
「白石先輩のお口に合ったなら何よりです」
「オレにはちょっと苦いかなあ」
食べ終えて粉のついた指先を舐め、緑地くんが零す。
「アイスボックスクッキーはこんなものだよ。でも幸太には甘みが足りないか。野々原さん、せっかく作ってくれたものに手を加えて悪いんだけど、グラニュー糖を足してもいいかな?」
「もちろんどうぞ」
愛想笑いを浮かべながら、レモンスカッシュに口をつける。
……まさか、拓馬が『有栖のお茶会』に招待してくれるなんて。
もう完全に諦めてたのに。
ヒロインの乃亜が『有栖のお茶会』に参加するためにはいくつかのイベントをこなし、白石先輩の好感度を上げておく必要がある……はずなんだけれど、わたしは白石先輩と事前に何の交流もないまま、ここにいることを許された。
フラグ管理も何もあったものじゃない。全くの成り行き。
だからこそ、これがゲームなんかじゃなく、わたしの行動次第でどうとでもなる現実だということを思い知らされた。
雨が降りそうな日曜日の午後二時過ぎ。
わたしは高級マンションの15階にある一室で、四人のイケメンたちに持参したクッキーを振る舞っていた。
実はわたし、料理が趣味なの。
だから、手土産にクッキーを焼いてきました。
「うん、美味しい。甘すぎず苦すぎず、ベストな味だね」
この部屋の主人である白石先輩は上品に微笑んだ。
その右隣では赤嶺先輩が美味しいのか不味いのか判断しづらい無表情でクッキーを頬張り、左隣では緑地くんが同じようにクッキーを頬張っていた。
わたしは拓馬と一緒に、白石先輩たちの対面のソファに座っていた。
上質なレザーのソファは快適な座り心地だけれど、一体いくらするんだろうという庶民根性が頭をもたげ、なんだか落ち着かない。
部屋は広く、掃除が行き届いていて、花瓶には鮮やかな青いデルフィニウムまで飾ってある。
まるでモデルルームのようだ。
「白石先輩のお口に合ったなら何よりです」
「オレにはちょっと苦いかなあ」
食べ終えて粉のついた指先を舐め、緑地くんが零す。
「アイスボックスクッキーはこんなものだよ。でも幸太には甘みが足りないか。野々原さん、せっかく作ってくれたものに手を加えて悪いんだけど、グラニュー糖を足してもいいかな?」
「もちろんどうぞ」
愛想笑いを浮かべながら、レモンスカッシュに口をつける。
……まさか、拓馬が『有栖のお茶会』に招待してくれるなんて。
もう完全に諦めてたのに。
ヒロインの乃亜が『有栖のお茶会』に参加するためにはいくつかのイベントをこなし、白石先輩の好感度を上げておく必要がある……はずなんだけれど、わたしは白石先輩と事前に何の交流もないまま、ここにいることを許された。
フラグ管理も何もあったものじゃない。全くの成り行き。
だからこそ、これがゲームなんかじゃなく、わたしの行動次第でどうとでもなる現実だということを思い知らされた。
