――ああ、わたし、拓馬が好きだ。
たとえ彼に乃亜という運命の相手がいても関係ない。
一年後に現れる乃亜は拓馬にとって絶対のヒロインで、わたしはモブかもしれないけれど、でも、だから、それが何だって言うんだ。
戦う前から諦めるなんて嫌だ。
わたしは乃亜にも、誰にも負けたくない。
言葉に言い表せないエネルギーが腹の底から沸き上がり、身体の隅々まで満たしていく。
この手を離したくないと願う気持ちを、わたしは自覚した。
――まあそれは良いとして。
いまは何より重大な問題があると、身体が切羽詰まった悲鳴を上げている。
「ちょ、ちょっと待っ――速、速すぎ――っ!」
わたしは切れ切れに訴えた。
拓馬が速すぎて、わたしの足が限界です!
「黙ってろ、舌噛むぞ!」
拓馬はわたしの手をしっかりと掴んで離さない。
拓馬があんまりにも速いから、わたしは必死に足を動かし、どうにか転倒しないようについていくだけで精いっぱいだ。
およそ自力では出したことのない――というか、出せるわけがない――速度に脳の処理が追い付かず、目が回る。
遠かったはずのゴールテープが凄い勢いで近づいてくる。
それが目前に迫ったところで、拓馬は急に速度を落とし、わたしの走る速度に合わせてくれた。
そのおかげで、わたしたちはほとんど横並びの状態でゴールし、真っ白なゴールテープを切る瞬間を確かに味わうことができた。
ぴんと張られていたゴールテープがわたしの身体に触れて緩み、地面に落ちたそれを体育祭実行委員が回収している。
「あー、さすがにちょっと疲れたな」
そう言いつつも、拓馬の顔には余裕があった。
だって息を弾ませながら笑ってるし。
わたしは言葉を発することさえできない。
肺は酸素を求めて暴れ狂い、酷使した膝はがくがく揺れて、立っているのがやっと。
たとえ彼に乃亜という運命の相手がいても関係ない。
一年後に現れる乃亜は拓馬にとって絶対のヒロインで、わたしはモブかもしれないけれど、でも、だから、それが何だって言うんだ。
戦う前から諦めるなんて嫌だ。
わたしは乃亜にも、誰にも負けたくない。
言葉に言い表せないエネルギーが腹の底から沸き上がり、身体の隅々まで満たしていく。
この手を離したくないと願う気持ちを、わたしは自覚した。
――まあそれは良いとして。
いまは何より重大な問題があると、身体が切羽詰まった悲鳴を上げている。
「ちょ、ちょっと待っ――速、速すぎ――っ!」
わたしは切れ切れに訴えた。
拓馬が速すぎて、わたしの足が限界です!
「黙ってろ、舌噛むぞ!」
拓馬はわたしの手をしっかりと掴んで離さない。
拓馬があんまりにも速いから、わたしは必死に足を動かし、どうにか転倒しないようについていくだけで精いっぱいだ。
およそ自力では出したことのない――というか、出せるわけがない――速度に脳の処理が追い付かず、目が回る。
遠かったはずのゴールテープが凄い勢いで近づいてくる。
それが目前に迫ったところで、拓馬は急に速度を落とし、わたしの走る速度に合わせてくれた。
そのおかげで、わたしたちはほとんど横並びの状態でゴールし、真っ白なゴールテープを切る瞬間を確かに味わうことができた。
ぴんと張られていたゴールテープがわたしの身体に触れて緩み、地面に落ちたそれを体育祭実行委員が回収している。
「あー、さすがにちょっと疲れたな」
そう言いつつも、拓馬の顔には余裕があった。
だって息を弾ませながら笑ってるし。
わたしは言葉を発することさえできない。
肺は酸素を求めて暴れ狂い、酷使した膝はがくがく揺れて、立っているのがやっと。
