イケメンといえば『カラフルラバーズ』の攻略対象キャラ全員が当てはまる。
ここから一番近いのは二年三組、白石有栖《しらいしありす》先輩のクラスだ。
応援席の最前列に白石先輩が座っていた。
髪と頭に巻いた白い鉢巻きを風に靡かせ、優雅な微笑みを浮かべて友達と喋っている。
駆け寄って、一緒に来てください、と頼めば白石先輩は快く了承してくれるはず。
白石先輩と同じクラスの赤嶺陸《あかみねりく》先輩に頼むという手もある。
精悍な顔立ちの赤嶺先輩は無表情でこちらを見ていた。
誰に頼もうか。
もしもこれがゲームなら、目の前に誰を選ぶかという選択肢が出現することだろう。
打算で考えるなら白石先輩がベストか。
ゲームのイベント『有栖のお茶会』の主催者である白石先輩と仲良くなれれば、わたしもお茶会に参加できるかもしれないから。
――でも。
選択肢なんて要らない。
イケメンというお題を見た瞬間、頭の中に浮かんだのは一人だけ。
わたしは二年三組の応援席に背を向け、全速力で走った。
「黒瀬くん!!」
わたしは一年一組の応援席の前に立ち、その名前を叫んだ。
応援席のベンチの一番上で、拓馬がわたしを見下ろし、吉住さんたちが口をあんぐり開けている。
彼女たちの前で拓馬を指名するなんて、喧嘩を売ったも同然だ。
でも、そんなのもどうだっていい。
「一緒に来て!!」
わたしはぜえはあと息を切らしながら、拓馬だけを視界に捉え、右手を差し伸べた。
拓馬は――なんだか楽しそうに笑った。
応援席のベンチから身軽に飛び降り、歩み寄って来る。
「何。お題に該当したのがおれなの?」
「そう。イケメンって言ったらあなたでしょ!」
片手に握り締めていた紙を大きく広げてみせる。
拓馬はイケメンの四文字を見た後、
「違いない」
納得したように言って素早くグラウンドを見回し、他の出場選手の動向を確認した。
「おし。まだ誰もゴールしてねえな、行くぞ! 夢のゴールテープを切らせてやるよ!」
「えっ、わあっ!?」
拓馬は言い終わるよりも先にわたしの左手を掴み、走り出した。
周りの景色が飛ぶように流れていく。
まるでジェットコースターに乗っているかのよう。
応援席が、青空が、グラウンドが、目に映る色彩の全てがごっちゃになって、マーブル模様になる。
拓馬はわたしの手を引いて、ぐんぐん、ぐんぐん、風を切って進んでいく。
声援を浴びながら、子どものように目をキラキラさせて、ゴールに向かって駆けていく。
走ることが好きなんじゃない、わたしを一位にするという野望に燃えているからあんなに楽しそうなんだと気づいた瞬間、わたしの中で何かが弾けた。
ここから一番近いのは二年三組、白石有栖《しらいしありす》先輩のクラスだ。
応援席の最前列に白石先輩が座っていた。
髪と頭に巻いた白い鉢巻きを風に靡かせ、優雅な微笑みを浮かべて友達と喋っている。
駆け寄って、一緒に来てください、と頼めば白石先輩は快く了承してくれるはず。
白石先輩と同じクラスの赤嶺陸《あかみねりく》先輩に頼むという手もある。
精悍な顔立ちの赤嶺先輩は無表情でこちらを見ていた。
誰に頼もうか。
もしもこれがゲームなら、目の前に誰を選ぶかという選択肢が出現することだろう。
打算で考えるなら白石先輩がベストか。
ゲームのイベント『有栖のお茶会』の主催者である白石先輩と仲良くなれれば、わたしもお茶会に参加できるかもしれないから。
――でも。
選択肢なんて要らない。
イケメンというお題を見た瞬間、頭の中に浮かんだのは一人だけ。
わたしは二年三組の応援席に背を向け、全速力で走った。
「黒瀬くん!!」
わたしは一年一組の応援席の前に立ち、その名前を叫んだ。
応援席のベンチの一番上で、拓馬がわたしを見下ろし、吉住さんたちが口をあんぐり開けている。
彼女たちの前で拓馬を指名するなんて、喧嘩を売ったも同然だ。
でも、そんなのもどうだっていい。
「一緒に来て!!」
わたしはぜえはあと息を切らしながら、拓馬だけを視界に捉え、右手を差し伸べた。
拓馬は――なんだか楽しそうに笑った。
応援席のベンチから身軽に飛び降り、歩み寄って来る。
「何。お題に該当したのがおれなの?」
「そう。イケメンって言ったらあなたでしょ!」
片手に握り締めていた紙を大きく広げてみせる。
拓馬はイケメンの四文字を見た後、
「違いない」
納得したように言って素早くグラウンドを見回し、他の出場選手の動向を確認した。
「おし。まだ誰もゴールしてねえな、行くぞ! 夢のゴールテープを切らせてやるよ!」
「えっ、わあっ!?」
拓馬は言い終わるよりも先にわたしの左手を掴み、走り出した。
周りの景色が飛ぶように流れていく。
まるでジェットコースターに乗っているかのよう。
応援席が、青空が、グラウンドが、目に映る色彩の全てがごっちゃになって、マーブル模様になる。
拓馬はわたしの手を引いて、ぐんぐん、ぐんぐん、風を切って進んでいく。
声援を浴びながら、子どものように目をキラキラさせて、ゴールに向かって駆けていく。
走ることが好きなんじゃない、わたしを一位にするという野望に燃えているからあんなに楽しそうなんだと気づいた瞬間、わたしの中で何かが弾けた。
