数日後、再び議会が招集された。
エリアナとカイザーは、議会の大広間に立っていた。
議員たちが、円形に配置された席に座っている。
議長が、立ち上がった。
「本日、調査結果を発表する」
議長の声が、広間に響く。
「しかし、調査は難航している。エリアナ皇妃に関する疑惑は、晴れていない」
エリアナの心臓が、早鐘を打った。
議長が、書類を読み上げる。
「よって、議会は決定する」
議長の声が、冷たい。
「調査が完了するまで、エリアナ皇妃を一時的に地下牢に幽閉する」
広間が、静まり返った。
カイザーが、立ち上がった。
「ふざけるな!」
カイザーの声が、雷のように響いた。
「エリアナは、何もしていない!」
議長が、カイザーを見た。
「陛下、これは議会の決定です」
「議会など、知るか!」
カイザーが、剣を抜こうとする。
だが、エリアナがカイザーの腕を握った。
「カイザー、大丈夫です」
エリアナの声が、静かに響く。
カイザーが、エリアナを見た。
その目には、怒りと無念。
「エリアナ……」
「真実は、必ず明らかになります」
エリアナが、微笑んだ。
「私を、信じてください」
カイザーは、歯を食いしばった。
議長が、護衛に命じた。
「エリアナ皇妃を、地下牢へ」
護衛たちが、エリアナに近づく。
エリアナは、抵抗しなかった。
静かに、護衛に従う。
カイザーが、エリアナの手を握った。
「必ず、助け出す」
カイザーの声が、震えている。
「待っていろ」
エリアナは、頷いた。
「はい」
護衛たちが、エリアナを連れて行く。
カイザーは、その背中を見送った。
拳を、強く握りしめている。
地下牢への階段。
暗く、冷たい。
松明の光だけが、壁を照らしている。
エリアナは、護衛に導かれて降りていく。
心臓が、早鐘を打つ。
恐怖。
初めて感じる、深い恐怖。
地下牢に到着した。
鉄格子の牢。
冷たい石の床。
窓はなく、光もない。
護衛が、牢の扉を開けた。
「入れ」
エリアナは、牢の中に入った。
扉が、閉まる。
鍵がかかる音。
護衛たちの足音が、遠ざかっていく。
静寂。
暗闇。
エリアナは、床に座り込んだ。
冷たい。
湿っている。
壁に背を預け、膝を抱える。
「こんな終わり方は……嫌だ」
エリアナの声が、暗闇に消える。
涙が、頬を伝った。
初めて、本当に、絶望を感じた。
継母に勝てないのか。
このまま、終わるのか。
エリアナは、目を閉じた。
時間が、ゆっくりと過ぎていく。
どれくらい経ったのか、わからない。
暗闇の中で、時間の感覚が失われていく。
その時、小さな音が聞こえた。
カリカリという音。
エリアナが、目を開ける。
牢の格子の隙間。
そこから、何かが入ってくる。
銀色の毛。
銀狼だった。
「銀狼……!」
エリアナが、駆け寄る。
銀狼が、格子の隙間から這い入ってくる。
体を小さくして、どうにか入り込む。
エリアナは、銀狼を抱きしめた。
「どうやって……」
銀狼が、何かを咥えている。
古い革張りの本。
エリアナが、それを受け取る。
「これは……」
日記帳。
父の日記帳。
だが、エリアナが知っているものとは違う。
もっと古く、隠されていたような。
「どこから持ってきたの?」
銀狼が、小さく鳴いた。
そして、床に何かを書くような仕草。
森。
隠し場所。
エリアナは、理解した。
父が、生前隠していた日記。
銀狼が、それを見つけてきたのだ。
エリアナは、日記を開いた。
松明の微かな光で、文字を読む。
父の几帳面な筆跡。
日付は、父が亡くなる数ヶ月前。
「マルグリットが、怪しい動きをしている」
エリアナの息が、止まった。
「彼女は、黒いローブの男と何度も会っている。毒を購入しているようだ」
ページをめくる。
「私は、彼女に狙われているかもしれない。この日記を、森の古い木の根元に隠す。もし何かあれば、エリアナが見つけてくれるだろう」
エリアナの目から、涙が溢れた。
「証拠は、この日記だ。医師も買収されている。診断書は偽造だろう」
「エリアナ、もし私が突然死んだら、これを信じてほしい。マルグリットが、私を殺したのだ」
エリアナは、日記を胸に抱きしめた。
「お父様……」
涙が、止まらない。
「ありがとう。ありがとうございます」
銀狼が、エリアナの隣に座った。
エリアナは、銀狼を抱きしめた。
「ありがとう。本当に」
銀狼が、小さく鳴いた。
エリアナは、日記を見つめた。
これが、証拠。
父の死の真相を示す、決定的な証拠。
「もう、逃がさない」
エリアナの目に、強い光が宿った。
「継母、必ず裁く」
夜が、明けた。
地下牢の上では、騒ぎが起きていた。
カイザーが、全軍を率いて王宮に現れたのだ。
「陛下、何を!」
大臣たちが、慌てる。
「法など、知るか」
カイザーの声が、冷たい。
「エリアナを、返せ」
カイザーが、地下牢への階段を降りていく。
護衛たちが、剣を抜く。
「陛下、お止めください!」
だが、カイザーは止まらない。
護衛の一人を蹴散らし、階段を降りる。
カイザーの後ろには、忠実な騎士たちが続いている。
地下牢に到着した。
「エリアナ!」
カイザーの声が、牢に響く。
「カイザー……!」
エリアナの声が、返ってくる。
カイザーが、牢の扉を見た。
鉄の扉。頑丈な鍵。
カイザーは、剣を抜いた。
「下がれ!」
カイザーが、剣を振り下ろす。
扉が、破壊される。
鉄が、砕け散る。
カイザーが、牢の中に入った。
エリアナが、立っている。
カイザーは、エリアナを抱きしめた。
強く。
「もう二度と、離さない」
カイザーの声が、震えている。
エリアナは、カイザーの胸に顔を埋めた。
「カイザー……」
涙が、止まらない。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「謝るな」
カイザーが、エリアナの髪を撫でる。
「お前は、何も悪くない」
カイザーが、エリアナの顔を見た。
「お前に手を出した者は、全員許さない」
カイザーの目に、激しい怒り。
「継母を、今すぐ逮捕する」
エリアナは、頷いた。
「証拠があります」
エリアナが、日記を見せた。
「父の日記です。継母の犯行が、全て記されています」
カイザーが、日記を受け取った。
ページをめくる。
その目が、見開かれた。
「これは……」
「父が、隠していたものです」
エリアナが、説明する。
「銀狼が、見つけてきてくれました」
カイザーは、日記を見つめた。
そして、顔を上げた。
「行くぞ」
カイザーが、エリアナの手を取った。
二人は、地下牢を出た。
銀狼が、その後をついてくる。
階段を上り、王宮へ。
大臣たちが、待ち構えている。
「陛下、これは法を無視した行為です!」
だが、カイザーは動じない。
「俺が法だ」
カイザーの声が、冷たく響く。
「今すぐ、マルグリットを逮捕しろ」
大臣たちが、顔を見合わせる。
「しかし……」
「これを見ろ」
カイザーが、日記を掲げた。
「先代侯爵の日記だ。マルグリットの犯行が、全て記されている」
大臣たちが、ざわめく。
「本当ですか」
「ああ」
カイザーが、頷く。
「今すぐ、逮捕しろ。皇帝の命令だ」
大臣たちは、頭を下げた。
「承知しました」
護衛たちが、走っていく。
継母の屋敷へ。
数時間後、継母マルグリットが連行されてきた。
豪華なドレスを着たまま、両腕を護衛に掴まれている。
その顔は、蒼白だった。
「これは、何の冗談ですか!」
継母が、叫ぶ。
「私を逮捕するなど!」
カイザーが、継母の前に立った。
「マルグリット、お前は先代侯爵を毒殺した」
カイザーの声が、冷たい。
「証拠は、これだ」
カイザーが、日記を見せた。
継母の顔が、さらに青ざめた。
「そんな……馬鹿な……」
「お前の犯行は、全て記されている」
カイザーが、日記を読み上げる。
「マルグリットが毒を購入。医師を買収。診断書を偽造」
継母が、後ずさる。
「違う……それは……」
「もう、逃げられない」
エリアナが、前に出た。
「お母様、全て終わりです」
継母が、エリアナを睨んだ。
憎しみに満ちた目。
「お前……お前が……!」
だが、もう遅い。
護衛たちが、継母を連行していく。
「放しなさい! 私は侯爵夫人よ!」
継母の叫び声が、廊下に響く。
だが、誰も耳を貸さない。
そして、イザベラも連行されてきた。
イザベラは、泣いていた。
「私は何もしていません!」
イザベラが、叫ぶ。
「全て、母の指示です!」
カイザーが、冷たく言った。
「共犯の疑いで、拘束する」
イザベラが、エリアナを見た。
「お姉様、助けて!」
だが、エリアナは動かない。
静かに、イザベラを見つめるだけ。
イザベラも、連行されていく。
泣き叫びながら。
王太子アレクが、その場に立っていた。
顔は青ざめ、震えている。
「妻が……逮捕……」
アレクの声が、掠れている。
カイザーが、アレクを見た。
「お前の妻は、エリアナを毒殺しようとした」
カイザーの声が、冷たい。
「継母との共犯だ」
アレクは、何も言えなかった。
ただ、その場に立ち尽くすだけ。
エリアナは、全てを見ていた。
継母の逮捕。
イザベラの拘束。
アレクの絶望。
全てが、終わった。
カイザーが、エリアナを抱きしめた。
「よく頑張った」
カイザーの声が、優しい。
エリアナは、カイザーの腕の中で泣いた。
安堵の涙。
長い戦いが、終わった。
「お父様……」
エリアナは、呟いた。
「やっと、真実を明らかにできました」
カイザーが、エリアナの髪を撫でる。
「お前は、強い」
カイザーの声が、誇らしげだった。
「誰よりも、強い」
エリアナは、頷いた。
銀狼が、二人の隣に座っている。
まるで、全てを見守っているかのように。
窓の外には、朝日が昇っている。
新しい一日。
新しい人生。
エリアナは、空を見上げた。
「ありがとう、お父様」
エリアナの声が、静かに響いた。
「これから、私は自分の人生を生きます」
カイザーが、エリアナの手を握った。
「俺も、一緒だ」
二人は、手を繋いだまま、窓の外を見つめた。
戦いは、終わった。
そして、本当の人生が、始まろうとしていた。
エリアナとカイザーは、議会の大広間に立っていた。
議員たちが、円形に配置された席に座っている。
議長が、立ち上がった。
「本日、調査結果を発表する」
議長の声が、広間に響く。
「しかし、調査は難航している。エリアナ皇妃に関する疑惑は、晴れていない」
エリアナの心臓が、早鐘を打った。
議長が、書類を読み上げる。
「よって、議会は決定する」
議長の声が、冷たい。
「調査が完了するまで、エリアナ皇妃を一時的に地下牢に幽閉する」
広間が、静まり返った。
カイザーが、立ち上がった。
「ふざけるな!」
カイザーの声が、雷のように響いた。
「エリアナは、何もしていない!」
議長が、カイザーを見た。
「陛下、これは議会の決定です」
「議会など、知るか!」
カイザーが、剣を抜こうとする。
だが、エリアナがカイザーの腕を握った。
「カイザー、大丈夫です」
エリアナの声が、静かに響く。
カイザーが、エリアナを見た。
その目には、怒りと無念。
「エリアナ……」
「真実は、必ず明らかになります」
エリアナが、微笑んだ。
「私を、信じてください」
カイザーは、歯を食いしばった。
議長が、護衛に命じた。
「エリアナ皇妃を、地下牢へ」
護衛たちが、エリアナに近づく。
エリアナは、抵抗しなかった。
静かに、護衛に従う。
カイザーが、エリアナの手を握った。
「必ず、助け出す」
カイザーの声が、震えている。
「待っていろ」
エリアナは、頷いた。
「はい」
護衛たちが、エリアナを連れて行く。
カイザーは、その背中を見送った。
拳を、強く握りしめている。
地下牢への階段。
暗く、冷たい。
松明の光だけが、壁を照らしている。
エリアナは、護衛に導かれて降りていく。
心臓が、早鐘を打つ。
恐怖。
初めて感じる、深い恐怖。
地下牢に到着した。
鉄格子の牢。
冷たい石の床。
窓はなく、光もない。
護衛が、牢の扉を開けた。
「入れ」
エリアナは、牢の中に入った。
扉が、閉まる。
鍵がかかる音。
護衛たちの足音が、遠ざかっていく。
静寂。
暗闇。
エリアナは、床に座り込んだ。
冷たい。
湿っている。
壁に背を預け、膝を抱える。
「こんな終わり方は……嫌だ」
エリアナの声が、暗闇に消える。
涙が、頬を伝った。
初めて、本当に、絶望を感じた。
継母に勝てないのか。
このまま、終わるのか。
エリアナは、目を閉じた。
時間が、ゆっくりと過ぎていく。
どれくらい経ったのか、わからない。
暗闇の中で、時間の感覚が失われていく。
その時、小さな音が聞こえた。
カリカリという音。
エリアナが、目を開ける。
牢の格子の隙間。
そこから、何かが入ってくる。
銀色の毛。
銀狼だった。
「銀狼……!」
エリアナが、駆け寄る。
銀狼が、格子の隙間から這い入ってくる。
体を小さくして、どうにか入り込む。
エリアナは、銀狼を抱きしめた。
「どうやって……」
銀狼が、何かを咥えている。
古い革張りの本。
エリアナが、それを受け取る。
「これは……」
日記帳。
父の日記帳。
だが、エリアナが知っているものとは違う。
もっと古く、隠されていたような。
「どこから持ってきたの?」
銀狼が、小さく鳴いた。
そして、床に何かを書くような仕草。
森。
隠し場所。
エリアナは、理解した。
父が、生前隠していた日記。
銀狼が、それを見つけてきたのだ。
エリアナは、日記を開いた。
松明の微かな光で、文字を読む。
父の几帳面な筆跡。
日付は、父が亡くなる数ヶ月前。
「マルグリットが、怪しい動きをしている」
エリアナの息が、止まった。
「彼女は、黒いローブの男と何度も会っている。毒を購入しているようだ」
ページをめくる。
「私は、彼女に狙われているかもしれない。この日記を、森の古い木の根元に隠す。もし何かあれば、エリアナが見つけてくれるだろう」
エリアナの目から、涙が溢れた。
「証拠は、この日記だ。医師も買収されている。診断書は偽造だろう」
「エリアナ、もし私が突然死んだら、これを信じてほしい。マルグリットが、私を殺したのだ」
エリアナは、日記を胸に抱きしめた。
「お父様……」
涙が、止まらない。
「ありがとう。ありがとうございます」
銀狼が、エリアナの隣に座った。
エリアナは、銀狼を抱きしめた。
「ありがとう。本当に」
銀狼が、小さく鳴いた。
エリアナは、日記を見つめた。
これが、証拠。
父の死の真相を示す、決定的な証拠。
「もう、逃がさない」
エリアナの目に、強い光が宿った。
「継母、必ず裁く」
夜が、明けた。
地下牢の上では、騒ぎが起きていた。
カイザーが、全軍を率いて王宮に現れたのだ。
「陛下、何を!」
大臣たちが、慌てる。
「法など、知るか」
カイザーの声が、冷たい。
「エリアナを、返せ」
カイザーが、地下牢への階段を降りていく。
護衛たちが、剣を抜く。
「陛下、お止めください!」
だが、カイザーは止まらない。
護衛の一人を蹴散らし、階段を降りる。
カイザーの後ろには、忠実な騎士たちが続いている。
地下牢に到着した。
「エリアナ!」
カイザーの声が、牢に響く。
「カイザー……!」
エリアナの声が、返ってくる。
カイザーが、牢の扉を見た。
鉄の扉。頑丈な鍵。
カイザーは、剣を抜いた。
「下がれ!」
カイザーが、剣を振り下ろす。
扉が、破壊される。
鉄が、砕け散る。
カイザーが、牢の中に入った。
エリアナが、立っている。
カイザーは、エリアナを抱きしめた。
強く。
「もう二度と、離さない」
カイザーの声が、震えている。
エリアナは、カイザーの胸に顔を埋めた。
「カイザー……」
涙が、止まらない。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「謝るな」
カイザーが、エリアナの髪を撫でる。
「お前は、何も悪くない」
カイザーが、エリアナの顔を見た。
「お前に手を出した者は、全員許さない」
カイザーの目に、激しい怒り。
「継母を、今すぐ逮捕する」
エリアナは、頷いた。
「証拠があります」
エリアナが、日記を見せた。
「父の日記です。継母の犯行が、全て記されています」
カイザーが、日記を受け取った。
ページをめくる。
その目が、見開かれた。
「これは……」
「父が、隠していたものです」
エリアナが、説明する。
「銀狼が、見つけてきてくれました」
カイザーは、日記を見つめた。
そして、顔を上げた。
「行くぞ」
カイザーが、エリアナの手を取った。
二人は、地下牢を出た。
銀狼が、その後をついてくる。
階段を上り、王宮へ。
大臣たちが、待ち構えている。
「陛下、これは法を無視した行為です!」
だが、カイザーは動じない。
「俺が法だ」
カイザーの声が、冷たく響く。
「今すぐ、マルグリットを逮捕しろ」
大臣たちが、顔を見合わせる。
「しかし……」
「これを見ろ」
カイザーが、日記を掲げた。
「先代侯爵の日記だ。マルグリットの犯行が、全て記されている」
大臣たちが、ざわめく。
「本当ですか」
「ああ」
カイザーが、頷く。
「今すぐ、逮捕しろ。皇帝の命令だ」
大臣たちは、頭を下げた。
「承知しました」
護衛たちが、走っていく。
継母の屋敷へ。
数時間後、継母マルグリットが連行されてきた。
豪華なドレスを着たまま、両腕を護衛に掴まれている。
その顔は、蒼白だった。
「これは、何の冗談ですか!」
継母が、叫ぶ。
「私を逮捕するなど!」
カイザーが、継母の前に立った。
「マルグリット、お前は先代侯爵を毒殺した」
カイザーの声が、冷たい。
「証拠は、これだ」
カイザーが、日記を見せた。
継母の顔が、さらに青ざめた。
「そんな……馬鹿な……」
「お前の犯行は、全て記されている」
カイザーが、日記を読み上げる。
「マルグリットが毒を購入。医師を買収。診断書を偽造」
継母が、後ずさる。
「違う……それは……」
「もう、逃げられない」
エリアナが、前に出た。
「お母様、全て終わりです」
継母が、エリアナを睨んだ。
憎しみに満ちた目。
「お前……お前が……!」
だが、もう遅い。
護衛たちが、継母を連行していく。
「放しなさい! 私は侯爵夫人よ!」
継母の叫び声が、廊下に響く。
だが、誰も耳を貸さない。
そして、イザベラも連行されてきた。
イザベラは、泣いていた。
「私は何もしていません!」
イザベラが、叫ぶ。
「全て、母の指示です!」
カイザーが、冷たく言った。
「共犯の疑いで、拘束する」
イザベラが、エリアナを見た。
「お姉様、助けて!」
だが、エリアナは動かない。
静かに、イザベラを見つめるだけ。
イザベラも、連行されていく。
泣き叫びながら。
王太子アレクが、その場に立っていた。
顔は青ざめ、震えている。
「妻が……逮捕……」
アレクの声が、掠れている。
カイザーが、アレクを見た。
「お前の妻は、エリアナを毒殺しようとした」
カイザーの声が、冷たい。
「継母との共犯だ」
アレクは、何も言えなかった。
ただ、その場に立ち尽くすだけ。
エリアナは、全てを見ていた。
継母の逮捕。
イザベラの拘束。
アレクの絶望。
全てが、終わった。
カイザーが、エリアナを抱きしめた。
「よく頑張った」
カイザーの声が、優しい。
エリアナは、カイザーの腕の中で泣いた。
安堵の涙。
長い戦いが、終わった。
「お父様……」
エリアナは、呟いた。
「やっと、真実を明らかにできました」
カイザーが、エリアナの髪を撫でる。
「お前は、強い」
カイザーの声が、誇らしげだった。
「誰よりも、強い」
エリアナは、頷いた。
銀狼が、二人の隣に座っている。
まるで、全てを見守っているかのように。
窓の外には、朝日が昇っている。
新しい一日。
新しい人生。
エリアナは、空を見上げた。
「ありがとう、お父様」
エリアナの声が、静かに響いた。
「これから、私は自分の人生を生きます」
カイザーが、エリアナの手を握った。
「俺も、一緒だ」
二人は、手を繋いだまま、窓の外を見つめた。
戦いは、終わった。
そして、本当の人生が、始まろうとしていた。


